フェラーリ「F355」のV8を搭載する世界に1台のバイク「HF355」が約8000万円で売却! なぜ“走るアート”はここまで高価なのか?
偶然見つけた「F355」のV8から始まった世界に1台だけのバイク
2025年に、フェラーリ「F355」のV8エンジンを搭載する世界に1台のカスタムバイク「HF355」が話題を集めました。
まさに異形のマシンですが、先ごろ、50万ドルを超える価格で売却されたと報じられました。なぜ1台のバイクにこれほどの価値がついたのか。その背景には、膨大な手仕事と独創的なエンジニアリングがありました。
「HF355」を手がけたのは米国ロサンゼルスを拠点に活動するカスタムビルダー、マックスウェル・ヘイザン氏です。
「HF355」のプロジェクトの始まりは、意外なものでした。ヘイザン氏が別のプロジェクトに使うためにエンジンを探していたところ、eBayに出品されていた1999年式フェラーリ「F355」の3.5リッターV8エンジンを発見。実物を確認すると、想像していたよりもコンパクトだったため、「これならバイクに積める」とひらめいたといいます。
「F355」が搭載したのは、3.5リッターのV型8気筒自然吸気エンジンです。1気筒当たり5バルブを採用し、フェラーリの公式値では最高出力380hp/8250rpmを発生します。
もちろん、自動車用のV8エンジンをそのまま一般的なバイクのフレームに載せることはできません。そこでヘイザン氏は約18か月を費やし、バイクの基本構造そのものから設計をやり直しました。
採用したのは、V8エンジン自体を車体の強度部材として利用する構造です。エンジン前方にクロモリ製のトレリス構造を直接固定し、後方にはトランスミッションとリアサスペンションを配置。巨大なV8エンジンを車体の中心に据えながら、前後重量配分はほぼ50:50に仕上げられたといいます。
完成した「HF355」の乾燥重量は約265kg、搭載されるV8エンジンは約400hpを発生するとされ、6速のシーケンシャルトランスミッションを組み合わせています。

しかし、このバイクの価値をそれらの数値だけで語ることはできません。ほぼすべての部分が「HF355」のために専用設計され、多くの部品はヘイザン氏自身が旋盤やフライス盤を使って加工しています。現在ならCNC加工機へ任せることもできる工程を、あえて手作業で進めているのです。
フェラーリのクランクシャフトとギアボックスをつなぐ専用スプラインシャフトも簡単には完成せず、試作と破損、設計変更を繰り返したといいます。
外装も16点のカーボンファイバー製パーツからなる専用品。原型から形をつくり、型を起こした上で成形するという、手間のかかった方法が採られています。
また電子制御についても、フェラーリの純正システムをそのまま流用したわけではありません。AMP EFI製のMS3Pro ECUを用いて、燃料噴射や点火などを制御する専用システムを構築。つまり「HF355」は、「F355」のエンジンを載せたバイクではなく、そのV8エンジンを中心に1台のバイクをゼロから設計した作品なのです。
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