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世界に1台! “最後のブガッティ”から生まれた「タイプ101C-X」はおよそ4億円!? 数奇な歴史をたどる幻のロードスターとは

シャシーのみだった“本物”を軽快なロードスターに

 戦後のブガッティ社は、まさに苦難の連続でした。創業者であるエットーレ・ブガッティは1947年にこの世を去り、後継者と目されていた息子のジャンは、すでに事故で亡くなっていました。

 そんな混乱の中で指揮を執っていたのは、番頭のような存在だったピエール・マルコ。マルコの指揮下、不安定な体制下ではあったものの、ブガッティは会社を存続させるために「タイプ101」を投入するまでこぎつけました。

「タイプ101」は、ジャン・ブガッティが手がけた名車「タイプ57」をベースに、3.3リッターの直列8気筒DOHCエンジンを踏襲したモデル。自然吸気エンジンで最高出力135馬力、スーパーチャージャーつきなら200馬力弱を発生し、当時の欧州製市販車の中で最強クラスの性能を誇ったといいます。

 1951年の「パリ・サロン」には2台がデビューしましたが、旧態依然としたソリッドアクスルの足まわりと高額な価格がネックとなり、結局、買い手はつきませんでした。最終的に製造されたのはわずか7台。ブガッティ本家が生んできた“本物”の系譜は、ここで途絶えることになります。

 その中の最後の1台、シャシーナンバー“101506”は、ボディを架装されないまま1961年までモルスハイムの工場に眠っていました。これを手に入れたのが、アメリカ・ニュージャージー州在住のブガッティ収集家、E・アレン・ヘンダーソンでした。目立つことを嫌った人物で、彼のコレクションの存在はほとんど世に知られていなかったそうです。

「タイプ101C-X」はシャシーナンバー“101506”をベースとするワンオフモデル。インテリアにはレザーとウッドが贅沢にあしらわれる(C)Hyman LTD.
「タイプ101C-X」はシャシーナンバー“101506”をベースとするワンオフモデル。インテリアにはレザーとウッドが贅沢にあしらわれる(C)Hyman LTD.

 1964年、ヘンダーソンは体調を崩したことをきっかけに、コレクションの整理を始めたのだとか。友人で『オートモービル・クオータリー』(1962年から2012年まで発行されたクルマの高級季刊誌)の発行人であるL・スコット・ベイリーに、コレクションの一部売却を相談したそうです。

 折しもベイリーは、クライスラーを退社したばかりのデザイナーであるヴァージル・エクスナーが手がけた、デューセンバーグ復刻プロジェクトの発表会に出席していました。エクスナーは「かつての名門ブランドが、もし今も存続していたら」というコンセプトを掲げ、デューセンバーグやスタッツなど伝説のカーブランドを現代に蘇らせる構想を進めていたといいます。

 ベイリーは、ヘンダーソンのブガッティ・シャシーこそ、エクスナーの次なる題材にふさわしいと直感したそうです。こうしてエクスナーは、ヘンダーソン邸を訪問することに。納屋を開けると、そこには14台ものブガッティがホコリをかぶって並んでおり、その中に座席代わりの木箱を積んだだけのシャシーナンバー“101506”を見つけたのです。

 その際の取引価格は2500ドル。当時は360円の固定相場ですから、日本円に換算すると90万円。参考までに、当時の大卒初任給は2万円に届かないほどでした。

 エクスナーは、軽快感に富んだロードスターを生み出すべく、ホイールベースを18インチ(約46cm)短縮させたほか、着座位置を下げるための改修を施したそうです。その後、イタリアのカロッツェリアであるギアへ送られ、エクスナーが思い描いたボディがしつらえられたのです。

Next価格は最新作「トゥールビヨン」の半額以下!?
Gallery 【画像】世界に1台の“最後のブガッティ”!? 数奇な運命をたどる「タイプ101C-X」を写真で見る(16枚)
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