VAGUE(ヴァーグ)

BMW新型「iX」に試乗してわかった、新たな電気自動車の「駆け抜ける歓び」とは?

クルマだけでなく製造段階から環境に配慮している「iX」

 BMWというと、“駆けぬける歓び”というキャッチフレーズとともに、スポーツカーのような気持ちいい内燃エンジンを持った、走って楽しいモデルを思い浮かべるかもしれない。

 その反面、実はダウ・ジョーンズ・サステイナビリティ・インデックス(DJSI)では幾度も自動車部門トップを飾っており、世界でもっともサステイナブルな自動車メーカーに認定されるなど、環境保全への取り組みは高く評価されている。

 2013年には、BMWグループとして初の電気自動車(BEV)である「i3」やプラグインハイブリッドスポーツカーの「i8」といったBMW iシリーズを発売。その生産工場の電力を風力発電など自然エネルギーで賄うなど、カーボンニュートラルへいち早く取り組んできた経緯がある。

完全に閉じられたキドニーグリルには、センサー類が隠されている。グリル下のベントは、バッテリーなどを冷却するために残されている(C)柳田由人
完全に閉じられたキドニーグリルには、センサー類が隠されている。グリル下のベントは、バッテリーなどを冷却するために残されている(C)柳田由人

 そうしたなかで、BMWが2021年に投入した新たなBEVがこの「iX」だ。新開発のBEV専用プラットフォームを採用し、ボディはi3などで培ったカーボンコンポジットをはじめ、アルミニウムや高張力鋼板を組み合わせたハイブリッド構造となっている。

 大きなキドニーグリルは、近年のBMWデザインの流れに沿ったもの。BEVなので実際にはエンジン冷却用としての機能を備えているわけではないが、いまどきの先進運転支援システム(ADAS)用のセンサー類が内蔵されている。テスラのようにグリルをなくすことでBEVであることをアピールする手法もとれるが、BMWは伝統のキドニーグリルを受け継ぐことで、ブランドの個性を発揮している。

●ボディサイズは「X6」とほぼ同じ

 ボディサイズは全長4955mm×全幅1965mm×全高1695mmと、おおよそ「X6」と同等。エンジンのないBEVのためホイールベースは3000mmと長く、広い室内を実現している。真横から眺めたときに、ボディサイドのラインが後ろにいくにつれてキックアップし、なだらかにくだってきたルーフともあいまって窓部分を小さくスポーティに見せるデザイン処理は、i3やコンセプトカーの「Vision iNEXT」と共通するものだ。

 インテリアは、BMWモデルとして初めてメーターパネルとセンターのコントロールディスプレイを一体化。12.3インチのインフォメーションディスプレイと14.9インチのコントロールディスプレイによって、フルデジタルスクリーンを構成する。スイッチ類を極力なくし、エアコンの送風口をスリム化することで運転席回りをすっきりとさせている。BMWではおなじみのiDriveコントローラーやシフトセレクター、シート操作スイッチなどはクリスタル製とすることで、ラグジュアリーさを演出している。

 サステイナビリティへのこだわりは、インテリアにも見てとれる。ダッシュボードはオリーブオイルを精製する際の副産物となるオリーブの葉の抽出液でなめしたレザーで覆われ、フロア・マットはリサイクルナイロンのエコニールが使用されている。ウッドパネルにはFSC認証(森林認証制度)を得たものを使う徹底ぶりだ。

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