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新型「コルベットZ06」がお手本にしたのはフェラーリ「458」と「488」のどっち? シボレー開発陣が「魂」を感じたエンジンとは

シボレー開発陣が明かすフェラーリ「488」より「458」がいい理由とは

 そんなZ06が搭載する新エンジン「LT6」を、アメリカの一部ジャーナリストに向けて発表した際の“内容”が今、話題になっている。GMでは1923年のキャデラックV8エンジンで採用して以来、久しくフラットプレーン・クランクに触れていない。そこで“基準”を設定するために、ポルシェやマクラーレン、フェラーリなどを研究候補に挙げた、とLT6のチーフエンジニア、ジョーダン・リーが明かしたのだ。

「コルベットZ06」のエンジンサウンドやフィーリングは、フェラーリ「458」がお手本のようだ(C)Ferrari NV
「コルベットZ06」のエンジンサウンドやフィーリングは、フェラーリ「458」がお手本のようだ(C)Ferrari NV

 どのような部品で、どう構成しているのか探るべく、2014年にフェラーリ「458」のV8エンジンを入手することが決まったという。ただ、開発段階の初期から、エンジンを分解するためだけに車両を購入するわけにもいかず、開発陣は入手方法で悩んでいた。そんな時にちょうど、ネットオークションサイト「eBay」で事故車の458のエンジンがポーランドから出品されているのを見つけたという。

 約2万5000ドルを支払い、本当にポーランドから品物が届くのか疑心暗鬼になりながら待っていた開発陣一同。ちゃんとクレートに載せられた458のエンジンがGMの研究所に届いた時は嬉しかった、とシボレーの広報担当者であるトレバー・トンプキンズは話していた。広報担当者までが、ここまで“ぶっちゃけトーク”を披露するのはなかなか珍しいことだ。まぁ、いわゆる“バズり”を狙っている雰囲気もなくはないが……。

 そして458エンジンを分解して、シボレーの開発陣がまず驚いたのが、ベアリングの小ささだったという。フラットプレーン・クランク特有の振動への対策や振動がコネクターやワイヤーへ及ぼすフレッチング摩耗対策などを研究し、LT6エンジンの独自開発へとこぎつけた。なおLT6エンジンの部品は、GMがラインナップするどのV8エンジンとも共有していないという。

 と、ここまではVAGUEではすでに簡単にお伝えしている。今回はさらに興味深い後日談を紹介しよう。

●フェラーリは「488」より「458」の方がいい!

 LT6エンジンの開発を終え、プロトタイプが出来上がった頃、シボレーでは実車性能比較のためにフェラーリ458を入手していた。

 その時はすでにフェラーリ「488」が登場していた頃だったので、しばらくして458を売却し、当時の“現行モデル”だったターボ搭載の488に買い替えたという。

 しかし、自然吸気エンジンで感じられた“魂”に欠けている、というシボレー開発陣の総意により、あらためて458を購入したというのだ。

 458の素晴らしさもさることながら、それ以上にLT6エンジンには大きな期待を抱かざるを得ない。Z06が搭載するLT6エンジンは、自然吸気で排気量5.5リッター、8600prmまで回り、最高出力は679psを叩き出すという。これは市販される自然吸気エンジンにおける最高峰の出力だ。アメリカでは2022年後半に投入されるので、日本デビューは年明けくらいになるだろう。

【編集後記】
 いみじくもシボレー開発陣から、488より458の方が官能的であることが裏づけられたことになった。「458スペチアーレ」が登場したときは、自然吸気最後のV8モデルということで話題をさらい、さらに現在の中古車マーケットでも高価格をキープするほどの人気振りである。

 今後、スタンダードモデルである458の人気も上がっていくことは容易に想像できる。将来的にプレミアがつくのは488より458と見て間違いないだろう。

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