走り味に影響を与えた1台の日本車とは? 世界一の“ハンドリングマシン”アルピーヌ「A110」の進化を探る
いま世界でもっともハンドリングのキレ味がいい1台
話をドライブフィールに戻そう。
「A110」がゆっくり走っても感動できるドライビングプレジャーを味わわせてくれる秘密は、ステアリングを切った際の反応のよさに尽きる。

よく切れるハサミやナイフは、使う人の意図を理解しているかのように扱いやすく、紙や食材をスムーズに切っていける。しかし、キレ味の悪いハサミやナイフは微妙な力加減が難しく、使っているだけでストレスが溜まる。
それはクルマだって同じことだ。ドライバーが意図したとおりに、ステアリングを切った分だけ過不足なく曲がってくれるクルマは、コントロールすること自体が喜びとなり、運転していて爽快な気分になれる。「A110」シリーズは、そのさじ加減が絶妙なのだ。
これほどまでに運転して気持ちのいいクルマは、スポーツカーのなかでも数少ない。筆者が知る限り、いま一般に購入できるスポーツカーのなかで、もっともハンドリングがいい1台だと断言できるほどだ。
●アルピーヌ「A110」の開発に影響を与えた日本車とは
先述したように、最新の「A110」シリーズには、252psの標準エンジンにアルピーヌシャシーを組み合わせた「A110」、300psの高性能エンジンにアルピーヌシャシーを組み合わせた「A110 GT」、そして、300psエンジンによりスポーティなシャシースポールを組み合わせた「A110 S」という3つの個性がある。
そのなかで、個人的いいと思ったのがアルピーヌシャシー搭載モデル。休日にワインディングでのドライブを楽しむ程度であれば、シャシースポールよりもアルピーヌシャシーの方がおすすめだ。
なぜなら、サーキットにおける限界走行領域でのパフォーマンスを考慮し、足回りが締め上げられたシャシースポールの走りは、アルピーヌシャシーのそれに比べてハイレベルではあるものの、軽快感やスッと心地よく曲がる感覚においては、アルピーヌシャシーの方に軍配が上がる。
アルピーヌシャシーは限界を高めることよりも、コントロール性を重視した仕立て。かつてサーキットでドライブしたときには、コーナリング時にリアタイヤがすべりはじめてからのスライドコントロール性の高さに驚かされた。
ミッドシップのスポーツカーといえば、リアタイヤがすべりはじめた途端、急激にスピンするモデルも少なくないが、アルピーヌシャシーを採用した「A110」は、まるでよくできたフロントエンジン/リアドライブ車のようにコントロールしやすく、テールスライド自体を楽しめる。
そんな懐の深いアルピーヌシャシーに高出力エンジンを組み合わせた「A110 GT」こそ、個人的にシリーズのベストチョイスだと感じた。
* * *
ところで、今回、最新型の「A110」をドライブするに当たって、アルピーヌ・ジャポンの関係者が面白いエピソードを披露してくれた。
それによると、どうやらアルピーヌは「A110」を開発するに当たり、サンプルとして数台のトヨタ「86」を購入。「86」の走りを深掘りすることで、走る楽しさや、すべるリアタイヤをコントロールして楽しむ歓び、といったものを、徹底的に研究したようだ。ミッドシップカーであるにもかかわらず、「A110」シリーズにテールをすべらせて楽しめる資質が備わっているのは、そうした活動の賜物なのかもしれない。
ドライビングプレジャーの塊ともいうべき「A110」が、日本のスポーツカーを参考に開発されていたというエピソードを聞いて、ひとりの日本人、そして、ひとりのクルマ好きとして、とても誇らしく思った。
●Alpine A110 S
アルピーヌ A110 S
・車両価格(消費税込):897万円
・全長:4205mm
・全幅:1800mm
・全高:1250mm
・ホイールベース:2420mm
・車両重量:1110kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHC+ターボ
・排気量:1798cc
・駆動方式:MR
・最高出力:300ps/6300rpm
・最大トルク:340Nm/2400rpm
・燃料消費率(WLTC):14.1km/L
・サスペンション:(前)ダブルウイッシュボーン式、(後)ダブルウイッシュボーン式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)215/40R18、(後)245/40R18
●Alpine A110 GT
アルピーヌ A110 GT
・車両価格(消費税込):893万円
・全長:4205mm
・全幅:1800mm
・全高:1250mm
・ホイールベース:2420mm
・車両重量:1120kg
・エンジン形式:直列4気筒DOHC+ターボ
・排気量:1798cc
・駆動方式:MR
・最高出力:300ps/6300rpm
・最大トルク:340Nm/2400rpm
・燃料消費率(WLTC):14.1km/L
・サスペンション:(前)ダブルウイッシュボーン式、(後)ダブルウイッシュボーン式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク
・タイヤ:(前)205/40R18、(後)235/40R18
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