“良いモノ感”あふれる内外装と荒削りながらも爽快な走り味に高揚! 燃費も上々のマツダ「CX-60」は今後の進化に期待大
遠目に見ても上質な存在感と昂揚感をより盛り上がるインテリア
直列6気筒ディーゼルエンジンの搭載、エンジン縦置きレイアウトに後輪駆動ベースAWDの採用、そしてプラグインハイブリッドやマイルドハイブリッドなどの電動化対応など、登場前からたくさんの話題を振りまいてきたマツダの“ラージ商品群”が、いよいよ現実のものになった。
その第1弾モデルとして世に出たのがマツダ「CX-60」だ。すでに2022年春にはプロトタイプに試乗する機会があり、また夏にはグレード展開、装備概要が明らかにされるなど焦らしに焦らされてきたわけだが、ついにここへ来て路上を走り始めた。

今回、ステアリングを握ることができたのは、まずは2022年9月15日に発売を開始した直列6気筒ディーゼル+48Vマイルドハイブリッドの“e-スカイアクティブ-D”搭載モデルである。300万円を切るモデルから600万円台中盤まで、幅広い価格帯で展開されるCX-60の中で、e-スカイアクティブ-D搭載車は500万円台以上と高額な部類に入る。それでも国内の事前受注でなんと45%を占めたという最もホットな存在だ。
冒頭に記したとおり、話題満載のCX-60。まずはそのスタイリングについて触れたいと思う。
ロングノーズ、ショートオーバーハングのプロポーションは、まさに世界のプレミアムカーがこぞって用いる、エンジン縦置きレイアウトを採用したおかげで実現したものであり、遠目に見ても上質な存在感を漂わせている。
その上で、「CX-5」などのように前進感を強調するのではなく、どっしりと落ち着き、また主たる駆動輪であるリアタイヤにしっかりと重心のかかったフォルムは、エレガントであり力強い。この外観だけでひと目ぼれ、という人はきっと少なくないだろう。
ドアを開けて室内に入れば、昂揚感がさらに盛り上がってくる。そもそも初代CX-5以降のマツダ車は、エクステリアもインテリアも高い品質感を実現していたが、CX-60ではさらに一段、レベルが高まった印象を受ける。それは意匠の話だけでなく、空間設計も効いているのだろう。水平基調でワイドな感覚のダッシュボードは、センターに入れられたパッドのおかげでこのクラスにふさわしい力強さを表現しているし、幅広なセンターコンソールもまた、この下にトランスミッションが存在するエンジン縦置きレイアウトであることを静かにアピールしている。良いモノ感に、そして良いクルマ感に包まれるインテリアといってもいいかもしれない。
とりわけ今回の試乗車は、「プレミアムモダン」と「プレミアムスポーツ」という仕立ては違えど同価格の最高級グレードだったから、ラグジュアリー感という面でもため息が出るような空間が描き出されていた。特に前者のダッシュボードは“かけ縫い”が施されたファブリック張りに白木というコーディネートで、繊細な美しさに思わずうっとり。一方、後者はタンカラーのナッパレザーというラグジュアリースポーツとしては直球の表現だが、しっかりとクオリティが伴っているので心地いい。この選択は悩ましいものがある。

「プレミアムモダン」と「プレミアムスポーツ」のいずれを選んだらいいかは後々考えることにして、走りを試してみよう。
心臓部は3.3リッターの直列6気筒ディーゼルターボユニット。その吹け上がりは期待に違わぬスムーズさで、回転が高まるに連れてキメが細かくなっていくような感触には、これもまたベタだとは思いつつ“上質”という言葉しか思い浮かばない。
トップエンドに向けての爽快な伸び感、パワーの盛り上がりも心地よく、ついアクセルペダルを踏み込みたくなる。“インダクションサウンドエンハンサー”によって味つけられたエンジン音も、違和感なしに快感だけ付加している。トルクコンバーターレスの8速ATは、低速域ではややつながりがラフな場面があるのは事実ながら、その後は小気味いいダイレクト感で爽快なドライブを可能にしている。
もしも、単に“走りが気持ちいい”というだけだと「この時代にマルチシリンダーの大排気量?」と思われるかもしれないが、マツダがこのエンジンに込めた真のねらいは、簡単にいえば“大排気量化の余裕を、出力はそこそこにして燃費に大きく振りわける”というもの。実際にこのユニット、WLTCモード燃費は実に21.0km/Lという優れた数字を実現している。1.8リッター直列4気筒ディーゼルターボの「CX-3」より低燃費だと書けば、そのスゴさが伝わるだろう。一方で、エンジン単体の最高出力254ps、最大トルク550Nmという数値は十分パワフルではあるが、輸入車勢などと比べれば、特に排気量からすると控えめといえないこともない。
ただし、e-スカイアクティブ-Dはそこに最高出力16.3ps、最大トルク153Nmの電気モーターによるアシストも入る。実際、発進のなめらかさ、アクセルペダルを踏み足したときに即座にクルマがスッと前へ出る感覚は、こうした領域が得意ではないディーゼルエンジンだけでは得られなかったに違いない。また、回生協調をおこなっていながらブレーキのタッチも秀逸だ。総じて、マッチングは上々ということができる。
もちろんこれは、燃費にも貢献している。その数字は驚きのもので、高速道路主体だと車載燃費計には余裕で20km/L以上という数字が出てくる。街中では多少下がるとはいえ、それでも10km/L台後半を割り込むことはほぼなさそう。車体のサイズ、そして得られる動力性能からすれば、見事というしかない。
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