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プロトタイプに乗って実感! スバル新型「クロストレック」が静かで運転しやすく疲れにくい理由とは

もっと気軽に所有できるよう前輪駆動車を設定

 今回、そんなクロストレックのプロトタイプを、ワインディングロードを想起させるテストコースで試乗した。そのイベントに合わせ、クロストレックに関してふたつの新事実が明らかになった。

スバルの新しいクロスオーバーSUV「クロストレック」は、スペックよりも「ドライバーがどう感じるか」を重視して開発。静かで運転しやすく疲れにくい走り味を実現した
スバルの新しいクロスオーバーSUV「クロストレック」は、スペックよりも「ドライバーがどう感じるか」を重視して開発。静かで運転しやすく疲れにくい走り味を実現した

 ひとつは、前輪駆動車のラインナップが復活すること。初代となるインプレッサXV時代には、AWD(4WD)のほかに前輪駆動車も用意されていたが、2012年にXVとして独立したシリーズになって以来、駆動方式は一貫してAWDを採用し続けてきた。それはスバルのSUVとして「駆動方式は、悪条件でも路面をしっかりとらえるAWDが理想」という考えを貫いていたからだ。

 しかし昨今、SUV市場の拡大にともない「もっと気軽にSUVを所有したい」と考えるユーザーが急激に増えているという。そんな人たちへの選択肢として、クロストレックにも前輪駆動車が“復活した”というわけだ。

 もうひとつの話題はタイヤに関するもの。新生クロストレックは日本市場向けも全グレードにオールシーズンタイヤを履くという。

 オールシーズンタイヤは、一般的なサマータイヤに比べて絶対的なドライグリップに劣るものの、未舗装路などに強く、薄っすらと積雪した程度なら走れる全天候型の特性が魅力。冬用タイヤ規制中の高速道路でも、スタッドレスタイヤまでチェーン装着が求められる“全車チェーン規制”でなければ通行可能だ。

 さすがに、本格的な雪道や凍結路は得意としないため、雪国を走る場合はスタッドレスタイヤの出番となるが、サマータイヤが苦手とするキャンプ場周辺での雨天時のぬかるんだ未舗装路など、ちょっとしたラフロードなら走破できる点は、オールラウンダーであるクロストレックのキャラクターと好相性。今回のスバルの判断は、ユーザーとして歓迎できるものといえそうだ。

 そんな新生クロストレックの進化を実感すべく、まずは従来型(AWD仕様のXV)でコースを周回した後、復活を果たしたクロストレックの前輪駆動モデルでコースインする。

 走り出はじめてすぐに感じたのは、車内が静かになったこと。全体の音を静かにするというよりも、従来モデルに比べて耳障りな音をやわらげている印象だ。

 さらに感じたのは、ハンドルを切る際のスムーズさ。連続するコーナーに対し、右へ左へとハンドルを切っていく峠道でも心地よく走れる。この点については、従来モデルもハイレベルだが、新型はよりなめらかなフィーリングを実現できる“2ピニオン式パワーステアリング”などの採用もあり、より高次元な仕上がりとなっている。

 前輪駆動車だからといってドライバビリティが悪いかというと、決してそんなことはなかった。クルマの動きは芯がありつつもしなやかで、不安な挙動など片鱗も見せずに走ってくれる。こうした挙動は言葉にするのは簡単だが、車体やサスペンションのバランスがきちんと整っていないとこうはいかない。

 マイルドハイブリッドの“e-BOXER”は、走行中にモーターのアシストを実感することはない。しかし、ベースとなる2リッターエンジンが急な上り坂のあるテストコースでも不満のない力を発揮してくれるため、スムーズに周回を重ねることができた。

 続いてAWDのクロストレックに乗り換えるが、基本的な乗り味は前輪駆動車と変わらない。その理由は、クロストレックが搭載する“アクティブトルクスプリットAWD”がスポーツ走行に焦点を当てたメカではなく、あくまで日常シーンでの安定性に焦点を当てたものだからだろう。ウエット路面でもピーキーな挙動を一切見せなかった辺りに、仕上がりのレベルの高さを感じた。

スバルの新しいクロスオーバーSUV「クロストレック」は、スペックよりも「ドライバーがどう感じるか」を重視して開発。静かで運転しやすく疲れにくい走り味を実現した
スバルの新しいクロスオーバーSUV「クロストレック」は、スペックよりも「ドライバーがどう感じるか」を重視して開発。静かで運転しやすく疲れにくい走り味を実現した

 一方、アクセルペダルを踏みながらコーナリングするような状況では、前輪駆動車に対するアドバンテージを感じられた。もちろん前輪駆動車でも気持ちよく曲がれるが、AWDは挙動がより安定している上に、ドライバーの期待どおりに曲がってくれる感覚=ライントレース性に優れる。アクティブトルクスプリットAWDはフロント60:リア40の前後トルク配分を基本とし、状況に応じてリアタイヤへの駆動トルクを高めるが、それがコーナリング中のハンドリングに効いているのだろう。

 こうした特性は、路面がすべりやすい雪道でも同じ傾向となるため、雪道を走るユーザーならやはりAWDを選ぶのがおすすめだ。

* * *

 クロストレックの車体を開発した担当者は、「すでに従来型でも十分な領域にあった車体剛性をむやみに強化するのではなく、箇所によってはあえてしなやかな構造にすることで過渡特性を磨き込んだ」という。

 その言葉どおり、構造用接着剤の使用域を拡大しつつ、一方では力を逃がす高減衰接着剤を活用するなど、まさに“剛”と“柔”の両面からSGPを活用した車体を進化させている。数値的な性能はもちろんだが、「ドライバーがどう感じるか」をこれまで以上に重視したのが新しいクロストレックなのである。

 静かで運転しやすく、疲れにくい。多くのドライバーは、クロストレックで移動するとそう感じるに違いない。それはクロストレックの基本性能の高さを示すとともに、乗る人の気持ちに沿って開発されたことの証といえるだろう。

●SUBARU CROSSTREK PROTOTYPE
スバル クロストレック プロトタイプ
・全長:4480mm
・全幅:1800mm
・全高:1580mm(ルーフレール・シャークフィンアンテナつき)
・ホイールベース:2670mm
・車両重量:1560kg(前輪駆動)/1610kg(AWD)
・エンジン形式:水平対向4気筒DOHC+モーター
・排気量:1995cc
・エンジン最高出力:145ps/6000rpm
・エンジン最大トルク:188Nm/4000rpm
・モーター最高出力:13.6ps
・モーター最大トルク:65Nm
・サスペンション:(前)ストラット式、(後)ダブルウイッシュボーン式
・ブレーキ:(前)ベンチレーテッド・ディスク、(後)ベンチレーテッド・ディスク

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