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「12気筒エンジン」の魅力とは? なぜ名機なのに姿を消す? BMWやセンチュリーは廃止、ベントレーは新たな時代へ

もし黎明期に高性能バッテリーがあれば現代の主流はEVだった!?

 2022年夏にベントレーが公開したビスポークモデル「マリナー・バトゥール」。限定18台という超少量の生産台数やEV(電気自動車)時代のベントレーを先取りしたというデザイン、そして、カーボンニュートラルの工場で手づくりされることなど、話題に事欠かないモデルだ。

 そんなマリナー・バトゥールの発表で気になったのが、同ブランドの会長兼最高経営責任者であるエイドリアン・ホールマークが残したコメントである。そこには「このモデルには、これまで開発してきた中で最も強力なエンジンを搭載します。当社のW12気筒エンジンは歴史上、最も成功した12気筒エンジンであり、将来のハイブリッド車やEVに道を譲るべく引退が近づいているため……」という一文がある。ベントレーのW12気筒エンジンも、終焉へ向けてのカウントダウンが始まっているというのだ。

ベントレーのスペシャルモデル「マリナー・バトゥール」は、これまでで最も強力なW12気筒エンジンを搭載。しかしこの名機も、ハイブリッド車やEVに道を譲るべく引退が近づいている
ベントレーのスペシャルモデル「マリナー・バトゥール」は、これまでで最も強力なW12気筒エンジンを搭載。しかしこの名機も、ハイブリッド車やEVに道を譲るべく引退が近づいている

 1886年、ドイツのカール・ベンツによって世界初の内燃機関を搭載したクルマが誕生した。4サイクル単気筒エンジンの排気量は954cc、最高出力は0.9ps、最高速は15km/hだった。

 あれから136年。クルマは飛躍的な進化を果たした。なかでもエンジンの進化に焦点をしぼると面白い事実が浮かび上がってくる。最近はクルマの電動化が大きな話題になっているが、エンジンの改良の歴史は、実はエンジンの特性を電気モーターに近づける歴史でもあったのだ。

 当初単気筒で登場したエンジンが2気筒、4気筒、6気筒、8気筒、12気筒へとシリンダー数を増やしていったのは、振動を消すことと高回転&高出力化が狙い。さらに、音を静かにするためにマフラー(消音器)を取りつけ、効率のいい回転域を維持するためにトランスミッション(変速機)を組み合わせた。その他、停止時のエンストを防ぐクラッチ、燃焼を安定させる電子制御式燃料噴射装置、排出ガスを浄化するための三元触媒、エンジン始動を楽にするセルモーターなど、エンジンは多くの補助装置によって高性能でクリーンで扱いやすい動力源へと進化し、結果として世界を制覇した。

 しかし、EVのモーターは上で羅列した補助装置を一切必要とせず、なおかつ、たった1個のモーターで12気筒に勝るとも劣らないスムーズさを実現してしまう。しかも車両から排ガスは一切出ない。エンジン側から見たらコレはもう反則ワザに近い。仮に1886年に高性能なリチウムイオンバッテリーが存在していたとすれば、その後の歴史は大きく変わりEVが主流になっていたのではないか。

 もちろん、現在のEVは決して完璧な存在ではない。航続距離、コスト、充電時間、充電インフラなど問題は山積している。しかし、エンジンが136年かけて進化してきたように、100年前から主流になり多くの企業がEV開発競争を繰り広げていたら、現在よりももっと安価で使いやすいEVが登場していたと思うのだ。

Next12気筒エンジンは人類が生み出した宝のひとつ
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