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世界有数のEVメーカー「BYD」の日本参入でどう変わる!? 2023年 日本のEV市場におきる劇的な変化とは

ATTO 3の巧みなプレスラインを可能にしたのは日本の技術

 実車を前にすると、写真で見た印象よりも斬新さが伝わってきます。

BYD「ATTO 3」のインテリア
BYD「ATTO 3」のインテリア

 特にサイドビューの面で抑揚のある変化は波打つような膨らみとなって再現されており、そのプレスラインの巧みさは思わず感心しないではいられません。正直言えば、ここまでの仕上がりができているとは思ってもみませんでしたが、それが可能となった背景には意外なことがありました。

 実は、これをプレスラインを手掛けたのが群馬県にあるタテバヤシモールディングという会社です。

 同社はもともと自動車のドアやボディなどを製造するための金型メーカー「オギハラ」の館林工場として、世界でも有数の高い技術力をウリとしていました。しかし、2010年にBYDに買収されています。それ以降、BYDにアウター/インナー部品のプレス金型を提供するようになり、その技術はATTO 3にももちろん採用されています。

 つまり、ATTO 3のボディは「メイド・イン・ジャパン」の産物でもあったわけです。

 車内はこれまでのクルマとは違う斬新さにあふれていました。

 それはフィットネスジムの雰囲気をモチーフにしたもので、いたるところにトレーニング用機材のようなデザインが見られます。シフトノブはダンベルのイメージから生み出されたもので、ベンチレーターのリング上のデザインもその雰囲気をしっかりと伝えてきます。

 個人的に惹かれたのはオーディオ用スピーカーで、ドア上部にはドアノブを一体化したミッドレンジスピーカーを組み込み、ドア下部の収納スペースには、ベースの弦をイメージしたゴム製ワイヤーも張ってます。中でもこの“弦”は、弾くと“ボロロン”と音が鳴ったりもするのです。こんなところにも遊び心をATTO 3からはしっかり感じ取ることができました。

 試乗のために公道へと出てアクセルを踏み込むと、電動車らしい力強い加速で車体を軽々とスタートさせ、その加速力はどこまでもエンドレスでつながっていくようです。そのトルクの出方はスムーズそのもので、急激なトルクの立ち上がりもなく自然に速度が上がっていく感じ。道路の段差もキレイにいなし、ショックをしっかりと吸収しているのがわかります。

 また速度を上げていってもフラットな乗り心地が変わることはありませんでした。

 試乗を終えて実感したのは、EVを軸として考えているユーザーには相当魅力的に映るのではないかということ。老眼が進んだ自分にとっては、全体に表示が小さめとなっているインターフェイスが気になりましたが、若い人ならそれほど気にならないでしょう。むしろ、より身近な価格設定でこの航続距離が得られるなら、最初のEVとするには受け入れられるのではないでしょうか。

 BYDジャパンの東福寺厚樹代表取締役社長は、「赤レンガ倉庫などでのイベントでは、乗ってみたら、パワフルで驚いたとか、想像上に良かったという人が多く、ネガティブなコメントはほとんどなかった」と話します。

 同社は年明けに幕張メッセ(千葉市)で開催される東京オートサロンへの出展も発表しており、そこで若い人へのアピールも行っていくといいます。

※ ※ ※

 そうした中で個人的に気になっているのは、後に発売を控えるコンパクトEV「ドルフィン」の存在です。

 円安の影響もあり、EVをはじめとしたクルマの価格がどんどん高くなっている中で、ATTO 3の440万円は十分に魅力的ですが、所得が思うように伸びていない状況下でその負担は決して小さくはありません。

 仮にドルフィンが300万円前後で登場すれば、ヒットを続けている軽EVの日産「サクラ」や三菱「eKクロスEV」とも良い勝負ができるのではないかと思うのです。

 いずれにしろ、新車を購入するのに欠かせないディーラー網も整備し、ラインナップも充実させるBYDは、日本車にとっても手強い存在になるはず。

 これをきっかけに日本のEV戦略が見直しを迫られるのは間違いないと見るべきでしょう。

Gallery 【画像】黒船襲来!? 2023年に日本上陸する「BYD」の車種を画像で見る(22枚)
会田肇
会田肇
モータージャーナリスト
1956年、茨城県生まれ。大学卒業後、自動車雑誌の編集部を経てフリーランスに転身。カーナビやカーAV分野を中心に取材・執筆活動をスタートし、現在はインフォテインメントシステム、ADAS(先進運転支援システム)、ITS(高度道路交通システム)など幅広いモビリティ分野を取材対象としている。また、趣味である旅行好きが高じてエアライン関連の取材・執筆も行う。日本自動車ジャーナリスト協会会員。

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