“素のディーゼルエンジン”こそマツダ「CX-60」の本命? 課題だった乗り心地は改善されたのか?
エンジンを回す歓びを感じられる“素のディーゼル”
『VAGUE』ではこれまで、マツダ「CX-60」のガソリンPHEV(プラグインハイブリッド)仕様や、「XDハイブリッド」グレードに搭載されるディーゼルMHEV(マイルドハイブリッド)仕様の印象をレポートしてきたが、今回は先ごろデリバリーが始まったモーターなしのディーゼル=“素のディーゼル”仕様の印象をお伝えしよう。

「XD(クロス・ディー)」グレードに搭載される“素のディーゼル”は、“スカイアクティブD 3.3”と呼ばれる3.3リッターの直列6気筒ディーゼルターボエンジン。3.3リッターということで「排気量が大きすぎるのでは?」と感じる人がいるかもしれないが、大きな排気量はパワーを引き出すためのものではなく、燃料を効率的に燃焼させて燃費を良化させるためのもの。これを理解しておかないと、このエンジンの存在意義を誤解する。
理想的な燃焼をおこなって燃費をよくするための大排気量、なんて従来の常識では理解しがたいが、カタログに記載されるXDのWLTCモード燃費は最高19.8km/L(エントリーグレードの後輪駆動車)と驚きの数値をマークする。今回のドライブでも実燃費で17km/L超えをマークしたから、マツダの理論には納得だ。
XDの3.3リッターディーゼルターボは、力強さも印象的だ。パワーより燃費重視とはいえ、最高出力231ps、最大トルク500Nmを発生することもあり、約1.9トンの重量級ボディをグイグイと加速させる。
それでいてこのエンジンは、運転のしやすさにおいても優秀だ。わずか1500回転で最大トルクを発生するおかげで、エンジン回転数を高めることなくクルマが前へ前へと進んでいく。街中など日常的な走行シーンにおいては、エンジン回転数が2000回転を超えることはほぼなく、1500回転も回していれば十分こと足りてしまうほど。一度この感覚を知ってしまうと、普通のガソリンエンジン車には戻れないかもしれない。
試乗前にひとつ心配だったのは、MHEV用の心臓部である“e-スカイアクティブD 3.3”が最高出力254ps(+モーター16.3ps)、最大トルク550Nm(+モーター153Nm)を発生するのに対し、XDの“スカイアクティブD 3.3”は231ps、500Nmへとスペックダウンしていること。エンジン自体は同じだが、XDは制御を変えることでインジェクターの最大噴射圧を低くし、スペックを落としているという。
2台を乗り比べてみると、確かにその違いを感じなくもないが、結論からいうとXDの“素のディーゼル”でもパフォーマンスは十分だった。最も違いを感じるのは1500〜3000回転辺りの領域で、MHEVの方が前へ進もうとする感覚が強い。これは、モーターアシストの有無による印象の違いもあるが、両エンジンのトルク特性に差がつけられているからだ。とはいえ、XDの“素のディーゼル”だけをドライブするのであれば、低回転域からの圧倒的なトルク感に感心させられるばかりである。

しかも3000回転以上になると、双方の発生トルクの差は小さくなり、4000回転以上ではほぼ同じ数値に。それもあって、MHEVはモーターアシストによって全域で厚いトルクを感じられるのに対して、XDの“素のディーゼル”は回転が高まるにつれて力強さが増していく印象だ。
絶対的な速さではMHEVだが、高回転域での盛り上がりではXDに軍配が上がる。エンジンを回す歓びを感じたいから、あえてモーターのない“素のディーゼル”を選ぶというのもアリだろう。
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