ドライバーの心をつかむ「刺激的な音と乗り味」! アバルト「500e」の小さなボディに凝縮された「操る歓び」は日本の公道で引き出せるのか?
常用域で速さを楽しめるようチューニング
端的にいえば、アバルト500eはフィアット「500e」をベースに、アバルトがチューンナップを加えたいわば高性能版です。

EVを高性能化する場合、バッテリーを大きくしてモーターも高性能なものに換えるというのが最もシンプルで一般的な手法ですが、アバルトはベースモデルの持ち味を活かしながら、各部に執拗なチューニングを加えていくことで総合力を高める、という彼らの伝統的なやり方で速さを稼ぎ出しています。
なので、パワートレインはフィアット版と基本は同じ。モーターやインバーターのキャリブレーション、コンタクターの可動接触面の改善、ハーネス内部の抵抗やロスの削減、制御マッピングの最適化、バッテリーの内部構成の見直しといった、恐ろしく地味なちまちまとした作業を無数に重ね、効率を徹底的に高めたことで、37ps&15Nmアップとなる最高出力155ps、最大トルク235Nmを発生させています。
また、モーターの得意分野とはいえない高速領域での伸びはほどほどのところで見切りをつけ、モーターならではの瞬発力をとりわけ中間加速の速さとして活かすべく、内燃エンジンのクルマの最終減速比に当たる部分のギア比を加速重視型のレシオに変更しています。
それらの結果、内燃エンジン車であるアバルト「695」に対して、20〜40km/hまでと、40〜60km/hまでの加速タイムがそれぞれ1秒ずつ速く、40〜60km/hはわずか1.5秒で加速します。さらに60〜100km/hまでも、だいたい1秒速くなっています。
こうした数値を見ると、日常的に多用する速度域で速いということがお分かりになるでしょう。アバルトのエンジニアたちがねらったのは、まさしくそこ。街中、郊外のオープンロード、そして峠道。滅多に使わない、あるいは使うことが許されない速度域ではなく、いわゆる常用域で速さを楽しめるクルマに仕立て上げられているのです。
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