“日常を愉しむ相棒”に最適!? 深化と熟成が進んだBMW「3シリーズ」が示した“王道セダン”の完成形とは
熟成極まる"3ボックス・セダン”
いつの時代もスポーティセダンの代名詞として君臨し、他ブランドにも影響を与えてきたBMW「3シリーズ」。その最新改良モデル「320d xDrive Mスポーツ」が日本上陸を果たしました。

クルマに対して“非日常”を求めるのなら、圧倒的な速さがもたらす刺激や、ミライを感じさせる先進的な技術が必要かもしれません。惚れ惚れするほどの美しさ、カッコよさに所有欲をくすぐられることもあるでしょう。
しかしBMWの320d xDrive Mスポーツは、いい意味でそれとは対極の存在にいます。もちろん、相応に速いし、操作系は先進的だし、正統派セダンとして十分にカッコいい。でも、ぱっと乗った瞬間から、ずっと慣れ親しんできた道具のようでいて、いつまでも乗り続けていたくなるような“イイモノ感”がある。これはまさに大勢の人たちのカーライフに寄り添い、“日常”を満足させてくれるクルマだと思います。
なにしろ日本での使い勝手は抜群。古くから自動車のスタンダードだった正統派3ボックス・セダンにして、全長4720mm×全幅1825mm×全高1445mmというボディサイズは、駐車事情を含めた日本の交通環境にピッタリ。見切りもいいし、ドライビングアシストの機能だってすこぶる賢い。これなら大きすぎて持て余すということがありません。
このジャストサイズを、先代3シリーズ(F型)後期モデルから粛々と熟成を続けているB47ユニットが引っ張ります。いわゆる2リッター直列4気筒ディーゼルエンジンで、いまや低圧用と高圧用のタービンを併用するツインターボへ。もちろん、BMW Mモデル各種に用意されるハイパワーガソリンエンジンほどの速さや刺激を持つわけではありません。
しかし、粛々とぶ厚いトルクを放出して背中を押し出す感覚は、エンジンを回してナンボというスポーツカーとは別の気持ちよさを感じます。最大トルクは400Nmですが、ツインターボ化の効能か、その近似値を幅広い回転域で放出するので、いつ何時も些細なアクセルワークだけで、意のまま欲する(以上の)加速感を得ることができます。

ディーゼルならではカラカラという音や、無粋な振動を感じさせるケースは稀です。少なくとも車内にいる限り、スムーズにして澄んだ音色を囁きながら、速度を乗せていきます。エンジンそのものが極めて高性能であり、またボディが遮音性に優れることも効いているのでしょう。そうした意味では風切り音やロードノイズも少なく、いかなる速度域でも快適な車室空間をキープします。
乗り味もまた同じ。Mスポーツサスペンションに18インチホイールを装着するので、初発の印象こそスポーツセダンらしい硬質さを訴えてきます。しかし路面の凹凸からくる衝撃を一発で収束させてフラットライドを保つ様子はとても上質なものでした。
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