“ポルシェの聖域”に設定された“初ハイブリッド”の実力は? 電動化への不満は皆無! 新型「911カレラGTS」はシリーズ随一の気持ちよさ
フルデジタル式メーターパネルが目を惹くコックピット
新たなメカニズムを手に入れた心臓部に対して、エクステリアやインテリアはどのように変化しているのでしょう?

まず、5つのアクティブフラップを備えたフロントバンパーは、新型「911カレラGTS」を象徴するディテールといえるでしょう。このエアフラップは必要に応じて開閉し、空力と冷却性能の両立を図るほか、連動して制御されるアダプティブフロントディフューザーも備えています。
横一文字のコンビネーションランプやガーニッシュ部分といった基本的なリアデザインは、「911カレラ」系モデルの変更点に準じます。一方、新型「911カレラGTS」はセンター2本出しの専用スポーツエキゾーストシステムを備えており、リアのバッジ以外でもそのハイパフォーマンスを主張します。
そのほか、標準装備となる20/21インチホイールに装着されるタイヤも、フロントこそ245/35ZR20と“992.1”と同サイズですが、リアは315/30ZR21とワイド化されています。
一方、インテリアでは、今回から採用されたフルデジタル式のメーターパネルが目を惹きます。“992.1”まではアナログ式タコメーターを中心に据え、その両サイドに液晶パネルが配置されていましたが、“992.2”ではそれが12.6インチの曲面タイプの一体型に改められています。
当初は「『911』らしさがひとつ失われたな……」と残念な気持ちもあったのですが、表示の自由度が高まり、ナビ画面をメーター内に表示できたり、ハイブリッドシステムの作動状況を瞬時に確認できたりと、必要な情報へのアクセス性が向上。
もちろん、立体感たっぷりに表現される従来同様の5眼表示モードも用意されており、思いのほか違和感なく馴染むことができました。
加えて、“992.2”ではエンジン始動時の“儀式”がノブをひねるタイプからスイッチをプッシュする方式に変更されましたが、こちらも始めこそ左手が空振りしたものの、すぐに馴染むことができました。
●「911カレラ」系で随一の走りの気持ちよさ
ここからは、新型「911カレラGTS」で最も気になる走りのフィーリングについてお伝えしましょう。

今回、市街地から高速道路、そしてちょっとしたワインディングで実力を試してみたのですが、その進化は歴然です。
とはいえ、ドライブしてみて“電動化の恩恵”を実感できるのは、実は比較的ハイペースで走っても良好な燃費ぐらいのもの。黒子に徹する“T-ハイブリッド”はその仕上がりが想像以上に素晴らしく、「今はモーターのアシストや電動ターボが効いているな」と気づくことや違和感が一切ないのです。
パンチのある加速どころか、もはやキックとでも表現したくなる強烈な加速も、エンジンらしい伸びやかさをたたえています。
街中を流して走るようなシーンやちょっとしたワインディングでアクセルペダルをオン/オフしても、”ツキ”のよさと加速感は人の感性や感覚にピタリと沿ったフィーリング。気持ちよさは「911カレラ」系で随一といっても過言ではありません。
“T-ハイブリッド”はハイブリッド車ですと説明されない限り、いや説明されても、異なる動力源があるとは気づかないほど、は極めて自然なフィーリングなのです。
懸念していた電気的雑音も、完全といっていいほど排除されているのには正直、驚かされました。そして、車内に聞こえてくるサウンドも歯切れよく、伝統的な金属的響きやビートをしっかり感じとれます。
* * *
ポルシェの開発能力や入念なテストを決して見くびっていたわけではありませんが、“T-ハイブリッド”の完成度はエンジン愛好家を十分に納得させるものでした。
スポーツカーとして知られる「911」ですから、こうした新機軸の投入時は「911カレラ」とは別ラインのシリーズを立てる、もしくは、スポーツモデルを頂上に据えてベースモデルから導入する、という手もあったはずです。
しかし、偉大なるオリジナルの「911カレラ」系モデルの頂上としてデビューさせたというのは、相応の自信があってのこと。メカニズムの一部が電動化されても、GTSのすべては「911」の流儀に則っており、これも「最新は最良」の一面なのだと気づかされました。
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