レクサス新型「ES」の開発陣が語る「セダンの可能性」 伸びやかさを活かした“革新的フォルム”がセダンの復権を後押しする!?【Behind the Product #25】
時代の変化をレクサスの価値観にいかに取り込むか?
一方、中国市場の話ばかりが出てくると、そちらばかりを向いてつくられたクルマかと思われるかもしれません。

ですが、実際のつくり手の真意としては、見据えているのはもっと先のようです。千足さんは強調します。
「中国市場で実際に起きていることはとても大事で、それをしっかり把握していなければならないと思います。それを、私たちレクサスが大切にしてきた価値観の中に、どう取り込んでいくかだと思うんです。
何がなんでも(中国でウケるような)新しいものを、というのではなく、これはグローバルのお客さまを豊かな気持ちにさせるよね、というものを、いち早く取り込んでいくことが大切だと思っています」
一例が、インテリアに採用された“レスポンシブ・ヒドゥン・スイッチ”です。普段はトリムに隠れているスイッチが、手を伸ばすと点灯してその存在を主張。しかも、ちゃんと押し下げ感のある物理スイッチとなった機構です。そのポイントを熊井さんは次のように説明します。
「スイッチ類を全部ディスプレイの中に収めてしまって、インテリアがシンプルでモダンになったな、と思わせた時期がありました。けれど結局、いざというときにサッと触れられない、探せないということで、ここへ来て物理スイッチへの回帰が起きています。
そんな中で考えたのが、物理スイッチが必要なところはしっかり残して、普段はいらないけれど必要なときには出てくるというこの機構でした。すぐに派手な話に飛びつくのではなく、どうやればレクサスとしての表現になるのか?……これを常に考えています」
中国市場で起きていることを察知し、認識し、意識しながら開発はするものの、単にその流れに乗るのではなく、その要素をいかにレクサスらしく表現するか? そして、グローバルのユーザーにも受け入れられる、喜んでもらえるものとして具現化するか?……意識にあるのは、そういうことのようです。

大胆といえるほどの変化を遂げた新しいレクサス「ES」。メインターゲットとして見据えているのは、どんな層なのでしょうか?
「これだけクルマが大きくなっても『ES』という名前を残した、ネーミングにこだわった理由は、そのポジションやターゲットユーザーを失いたくなかったからです。
平日はビジネスでお客さまを乗せることが多く、けれど普段はファミリーで使っている、という位置づけが『ES』だと私は思っていて、その立ち位置は変えていません」
千足さんのこの言葉だけだと、今までどおりでいいとも聞こえますが、実際のところ「ES」のユーザー、特に北米や日本では、だいぶ年齢層が高くなってきているのも事実。新型の大胆な変身のねらいは、それを元々意図していた辺り、いうなれば人生で最も脂が乗った時期のエネルギッシュな世代にまで引き下げたい、ということでしょう。
「ものすごくクルマが好きというよりは、ライフスタイルが洗練されていて、身の回りのものにすごくこだわっているような方、でしょうか。この世代の方々って、グローバルで価値観が非常に近いんじゃないかと思うんです」
実際に見据えているのは、40〜50代の、仕事も家庭も今まさにノリにノッた人たち、といったところでしょう。
彼らにとってきっと今までの「ES」は、ちょっと落ち着き過ぎた印象で、スコープに入ってこないクルマだったのでは? 新しいレクサス「ES」は、日本でも市場に新しい風を吹き込んでくれそうな気がします。
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