ラグジュアリーを極めた「メルセデス・マイバッハの最新作」 ブランド初の電動SUVはプレミアムカーを味わい尽くした人への「裏メニュー」!?
慣れないと気持ち悪く感じるくらい静か過ぎるキャビン
マイバッハ「EQS 680 SUV」は、ベースモデルと同じBEV専用のプラットフォーム“EVA2”を採用しています。

そこに、連続可変ダンパー“ADS+”にエアスプリングを組み合わせた“エアマチックサスペンション”や、最大舵角10度の“リアアクスルステア(後輪操舵)”、そして、275/40R22 107Hサイズの専用タイヤ・クーパー「Zeon Crossrange MO-S」などが採用されていますが、それ以外の箇所もマイバッハ向けに最適化が図られているはずです。
走行中のキャビンは、移動中のクルマの中とは思えないほど静寂な空間で、例えるなら、新幹線の最上級クラスである“グランクラス”、しかも個室の……といった印象。パワートレインの作動音やロードノイズはほぼ聞こえず、かすかな風切り音が聞こえるくらいです。あまりに外界と切り離されているため、慣れないと気持ち悪く感じる人もいるかも!?
ボディサイズが大柄なため、確かに狭い道でのすれ違いや車庫入れ時などは気を使うのですが、“リアアクスルステア”の効果で最小回転半径は5.1mと“Cセグメント”のクロスオーバーSUVより小さく、想像していたよりも取り回し性ははるかに良好です。
ハンドリングは、3トン超えの超重量級を感じさせない軽快な動きではあるものの、あえてサイズを感じさせるような、ゆったりしたクルマの動きが印象的です。
ただし勘違いして欲しくないのは、単にゆるいのではなく、ドライバーの操作に対する“時間軸が長い”だけで、応答性やクルマの動きはシッカリしています。なので、このモデルに不釣り合いなワインディングのようなルートでも、タイヤのグリップに気をつけさえすれば(何せ3トン超えですから……)、結構、気持ちよく走れてしまいます。
ただし、これもパワートレインと同様、性能を目いっぱい発揮させるためのポテンシャルはなく、常用域で乗員が不快にならないような、なめらかなボディコントロールを重視した性能である……ということです。
乗り心地は、22インチの大径タイヤを履いていることを全く感じさせないだけでなく、「フワフワだけど、なぜかシッカリしている」という不思議な感覚です。
乗り心地の評価指標のひとつに“バネ上をフラットに保つ”というものがありますが、マイバッハ「EQS 680 SUV」は路面の凹凸に対してバネ上が結構動きます。
ただし、人間の波長に合う絶妙な動き方なのと、入力をあえて素早く吸収させず、数回に分けて“溶けてなくなる”ような吸収のさせ方なので、なんともいえない心地よさを味わえるのです。例えるなら、幼い頃にゆりかごに揺られて寝ると気持ちよかった感覚、といったものに近いのかな……と思います。
もちろん、“ダイナミックセレクト”で走行モードを「スポーツ」にすれば、クルマの動きを抑えたシャキッと引き締まったハンドリングや乗り心地にすることもできます。ロジカルに見るとこちらの方がフツーのクルマっぽい感じが強いのですが、個人的には、それだとマイバッハ「EQS 680 SUV」ではなく、“ただ”の「EQS SUV」の走りになってしまうので、あえておススメはしません。
* * *
そろそろ結論といきましょう。
マイバッハ「EQS 680 SUV」の価格は(消費税込)2790万円。ちなみに、今回の試乗車はオプションてんこ盛り仕様で、3452万3000円とまさに“動く不動産”といってもいいレベルのプライスタグでした。
しかし、その乗り味や内容を考えれば、ベースモデルの「EQS SUV」(2012万円)と比べてリーズナブルに感じます。それくらいこの2台は似て非なる存在なのです。
ただしマイバッハ「EQS 680 SUV」は、「一番高いの、持ってこい!」という考え方で選ぶべきクルマではありません。そういう意味では、これまでプレミアムブランドのクルマを味わい尽くしてきた人だけが試すことを許される、“裏メニュー”のような存在なのかもしれません。
page
- 1
- 2
VAGUEからのオススメ
浅草発マイクロブランドの真価――クロノス広田雅将×ウォッチディレクター渡辺雅己が語る「誠実な時計づくり」とは【PR】