VAGUE(ヴァーグ)

アウディの旗艦モデル「A8」に設定された“魔法の乗り心地”を生む機能とは

“技術による先進”がアウディのクルマづくりの基本

 アウディは「Vorsprung durch Techinik」(ドイツ語で『技術による先進』)をモットーにしたクルマづくりをしている。

  • アウディ「A8 60 TFSIクワトロ」の走り

 アウディはフォルクスワーゲン、ポルシェ、ランボルギーニ、ブガッティ、セアト、シュコダというブランドとともにグループを結成しているが、その中で単なる高級車という位置づけではなく、常に最先端技術を取り入れたクルマを提供している。

 quattro(クワトロ)もそのひとつだ。4WDといえばオフロードで走るクルマのもの、というそれまでの概念を打ち破ったのはアウディだ。

 ビッグクワトロと呼ばれたアウディクーペが、約40年前にラリーシーンで活躍した。その後、オンロードで使うクルマの4WD化は進み、いまではアウディはもちろん、他メーカーも当たり前のように4WD化が進んでいる。

 窓のガラスとサッシュの段差をなくすフラッシュサーフェースの採用もアウディが早かった。これはエクステリアがスッキリ見えるだけでなく、風切り音の低減にも貢献した。もちろん空気抵抗も小さくなるから、燃費にも好影響を与えた。ガラスとガイドを別に設けるという手間のかかるつくりなのだが、それをうまくやってのけた。

 マトリックスLEDヘッドライトもアウディは早かった。対向車や先行車がいるところを避けて明るいヘッドライトでなるべく遠くまで照らしてくれる技術は、初めて乗ったときには驚いた。すれ違う対向車はもちろん動いているのだが、その動きに合わせてライトが動くのだ。これにより夜間の安全性は大きく改善された。

 そして今度は「プレディクティブ・アクティブ・サスペンション」である。アウディのフラッグシップサルーン「A8」にオプション(72万円。消費税込)で設定された。今回そのオプションを搭載した「A8 60TFSIクワトロ」に試乗した。

  • アウディ「A8 60 TFSIクワトロ」の走り。試乗車は「A8L」ではなく通常ボディだ

 プレディティブ・アクティブ・サスペンションとは、電動フルアクティブ制御のサスペンションシステムだ。

 その名のとおり、先の予測をしてアクティブ・サスペンションを動かす。車載カメラが前方の路面状況を捉えて予測、4つのホイールに組み込まれた電気モーターを制御して、ダイナミックからコンフォートまで任意でさまざまな乗り心地を設定できるのだ。

 A8には減衰力可変ダンパー、アクティブ・エアサスペンションが装備されているが、スタビライザーに電動モーターを組み合わせてロールを制御するシステムも組み込んだ。

 エアサスペンションを動かすことにより上下動は可能になるのはわかる。前方に段差があれば、衝撃を小さく乗り越えるためには車体を少し持ち上げて通過する。縮む方向のサスペンションストロークをたくさん使えるからだ。前後方向のGの変化によるピッチングも小さくすることができる。つまりフラットな乗り心地になる。

 コーナーでのロールは、マックス1100Nmという強大なトルクを発揮する電動モーターが組み込まれたスタビライザーが効いてくる。コーナーでは、遠心力でクルマの外側のサスペンションは縮み内側は伸びるが、これを強力なスタビライザーによって押さえ込むことができるのだ。つまり、コーナリングでもロールのない走り味を実現する。

Nextコーナリングでもロールのない走りを実現する
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こもだきよし
こもだきよし
モータージャーナリスト
日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会長(2016年〜) 1950年 神奈川県川崎市生まれ 自動車レース、タイヤテストドライバーの経験を経て、1984年から新型車にいち早く試乗して記事を書くフリーランスのモータージャーナリストになる。クルマが好きというより運転することが好きでこの仕事をしている。 世界一の難所と云われるドイツのニュルブルクリンクの北コース(ノルドシュライフェ)を1984年5月に初めて走ってから40年間通い、BMW M社主催のBMW ドライビングエクスペリエンスで、インストラクターとしてドイツ人インストラクターとともに日本人参加者向けにニュルの走り方を伝えている。

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