走りの軽快さはS660超え!? ホンダ新型「スーパー ワン」は軽自動車ベースなのに“全開が楽しい”! 1090kgの軽量“新世代ホットハッチ”の実力とは
「誰に向けたクルマ?」という先入観を覆す電動ホットハッチ
これって、誰に向けたクルマなのだろう?−−正直に告白すると、2026年5月下旬に発売されるホンダ「スーパー ワン(Super-ONE)」に対して、筆者(工藤貴宏)はそう思っていました。
けれどプロトタイプの試乗を終えた今は、そんな自分を恥じたい気分。なぜなら筆者自身が「欲しい!」と思えた楽しいクルマだったからです。確かにユーザーを選ぶクルマではありますが、条件や好みにマッチすれば魅力いっぱいの1台となることでしょう。
ホンダ「スーパー ワン」は超コンパクトでスポーティなBEV(電気自動車)です。軽自動車のBEVである「N-ONE e:」をベースに、エクステリアはブリスターフェンダーなどでスポーティにドレスアップ。さらに、制御でモーター出力を引き上げる「BOOST」モードが追加されたほか、専用チューニングのサスペンションによって走行性能もアップさせることで“ホットハッチ”に仕立てています。
誕生のきっかけは、「こういうクルマをつくりたい」という開発現場のプランだったといいます。「ラインナップにスポーツモデルが欲しい」というホンダのDNAと、「今後はBEVへ舵を切る」とした同社の事業の流れの中で生まれたプロダクトといっていいでしょう。
「スーパー ワン」はホンダにとって初となるスポーティなエッセンスでつくり上げた市販BEVであり、「BEV時代でもホンダはスポーツカーを出し続ける」という決意を感じさせる1台です。

ボリューミーな前後バンパーやブリスターフェンダーによって軽自動車枠をはみ出しているものの、車体骨格そのものは軽自動車枠に収まります。全長は現時点では明らかになっていませんが、3.6mくらいでしょうか。
スポーティという視点で見た場合、そんなコンパクトボディがもたらすアドバンテージとなるのが車両重量。1090kgしかないのです。軽自動車以外のBEVは、コンパクトカーでも一般的に1300kg以上ありますから、「スーパー ワン」は明らかに軽い。軽さは正義で、これが走りに効いてくるのです。
ただし、駆動用バッテリーの搭載量は多くないため航続距離は274km(WLTCモード)と短めですが、近距離移動用のモデルと考えれば十分ではないでしょうか。
気になるモーターの最高出力は、通常モードが47kW(64ps)で、「BOOST」モードは70kW、つまり約95psです。これはターボエンジンを搭載する軽自動車(64ps)の約1.5倍。絶対的パワーは決して大きくはないものの“気軽に全開できる適度なパワー”と軽量ボディの組み合わせは、まさにホットハッチらしいものといえます。
そんなスペックを眺めているだけでも楽しい走りを予感させる「スーパー ワン」をサーキットで試乗することができました。
コースインしてまず感心したのは、自然なハンドリングフィール。スイスイ向きを変えるので、コーナーリングが本当に気持ちいい。まるでミッドシップの軽量スポーツカーみたいな走り味です。
この印象は、車重の軽さによってもたらされるものだけではありません。まずは、重いエンジンがなくなって車体前部が軽くなったことで、前後の重量バランスが良化。そして、重いバッテリーをフロア下に積むことで、低重心化が図られたことも効いています。
その素晴らしい回頭性に対して、「かつて乗っていた『S660』のようだ」と思っていたのですが、開発エンジニアに話を聞くと「実は『S660』以上なんです」とのこと。超軽量のミッドシップ2シーターカーを超えるその回頭性は、エンジンを搭載するスポーティなハッチバックや一般的なコンパクトBEVのレベルを超えています。
「スーパー ワン」のサスペンションは、「N-ONE e:」に対してワイドトレッド化されているとともに、バネやダンパーが硬められています。その上で、フロントはロアアーム(アルミ鍛造化)やハブ(剛性アップ)などを変更。リアはアクスルビームの板厚をアップさせるなど強化品となっています。結構、手が込んでますね。
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