時代に逆行する贅沢!! 世界から28人だけを招いて3日間も開催! 新生「BMW ALPINA」のプレビューイベントがあえて“バズらない”スタイルを選んだ理由
キドニーの奥に潜んでいたのは紛れもないV8だった
ここまでデザインを中心に記してきましたが、大事なことをお伝えしていませんでした。走りについてです。
実はBMW ALPINA、そしてBMWの中型車以上のデザインを担当するマキシミリアン・ミッソーニ氏によれば、キドニーにカバーをしたのは「BEV(電気自動車)時代にもアイデンティティを明確にするため」とのことで、実車を見た際にも「BEVなのかな?」と一瞬、思ったのですが、違いました。車体後方に回ると、そこには4本出しのテールパイプが。途中でエンジンがかけられ、短い時間ながらそのサウンドを聞くこともできました。そのビートは間違いなくV8のそれ。安心したという方、多いのでは?
思い返してみると、前日のセッションで投影された資料にも、V8エンジンのようなイラストがありました。さらにいえば、モノカラーとされた新しいロゴマークも、変わらずクランクシャフトとバルブスプリングをモチーフとしています。つまり、そういうことだったのです!
プログラムは翌日まで続きました。用意されたラウンドテーブルの主たるスピーカーはマキシミリアン・ミッソーニ氏。私は「SPEED NOT SPORT」を、デザインとしてどう表現するのかと尋ねました。
「BMWにはMというブランドもあり、いずれもモーターレーシングをルーツとしていますが、アルピナは特に耐久レースで活躍したブランドです。そこで私たちは、高性能だけでなく快適性も大事にすると改めて定義しました。耐久レースで速いのは、長距離を疲れ知らずで移動できるクルマだからです。
デザインは、まずダウンフォースを大事にしたものになります。そもそもアルピナはフロントに特徴的なスポイラーがありますよね。しかしながら全体的には、例えばMモデルに較べれば落ち着いたデザインになると思いますよ」
BMW ALPINAの市販モデルは、2027年に登場の予定です。フィーレヒナー氏は、「今回のVisionモデルはあくまでコンセプトカー。実際に登場するのは、まず『7シリーズ』をベースとしたものになります」と話してくれました。さらに、当面は高価格帯のモデルにフォーカスしてブランドを固めていくとのことでした。
●なぜ“バズらない”方法を選んだのか? 3日間の取材会が教えてくれたこと
プログラムはここで終了。私たちはBMW「iX3」の試乗のため、ミュンヘンへと向かいました。

その道中、3日間を費やしたイベントのことを改めて思い返していたのですが、ここで気づいたのは、BMW ALPINAのトップマネージメントの面々が望んだのはSNSなどで目立つこと、世間でバズることではなく、その正反対であること。私を含むごく少数の媒介者を通じて、ブランドの描く世界を、届けるべき相手にじわりと拡げていこうと意図していたんだな、ということでした。
主張の強い、目立ったもの勝ちの“ラグジュアリー”が跋扈(ばっこ)する世の中で、BMW ALPINAというブランドの個性や特質をそれこそひかえめに、しかし何より力強く知らしめるために。ゆったりとしたスケジュールもまた、BMW ALPINA独自の世界に導くための、演出の一部だったんですね。
2027年まで、もうそれほど時間があるわけではありません。新生BMW ALPINAが、続いてはどんな展開で私たちをうならせてくれるのか? このイベントを取材して、ますます楽しみになったのでした。
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