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製造ロボットはわずか2基! 1台に最大130時間も費やして生産する英国・クルー本社工場へ 歴代の名車と“匠のワザ”が伝えるベントレーの真価

木と革に宿る職人ワザ! 手仕事を支えるAIとロボット

 ベニアと呼ばれるウッドパネルを扱うトリムショップも、久々に見ることができました。1台のベントレーに使われるウッドは、基本的には1本の木から取られたものとなります。これは色味、木目をそろえるのと、同じように経時変化していくことをねらってのことです。

 厳選された木材は薄くスライスされ、3週間をかける乾燥の工程の後、薄いアルミの板に貼られて、今度はラッカーを塗ってサンドペーパーで磨く作業を5層にわたって繰り返し、さらに2週間をかけて仕上げます。このラッカーを極薄で塗る作業には実はロボットが活用されているのですが、これは工場内にあるたった2基のロボットのうちの1基なのだそうです。手作業にこだわりつつも、作業者の負担が大きく効率的ではない部分には、こうして臨機応変に最新技術も使われているのです。

 初めて見る加工もありました。スライスしたウッドを石に押しつけて、表面の凸凹を転写させるストーンウッドです。木なのに手触りは石のような面白い素材。ユーザーの求めに応じ、新しい技術もどんどん採り入れられているんですね。もちろん象嵌(ぞうがん)を入れるのも、レーザーエッチングで好きな柄を入れるのも、すべてはユーザーのお好み次第です。

 やはり特徴的なレザーは、北欧の高地で放牧された最高級の牛革のみを用います。AIの活用により、表面の傷などを避けて最も効率のいい形で切り出されます。使われるレザーは「ベンテイガ」の場合で牛14頭分。当然、サステナビリティに配慮し、食肉用の副産物として生まれた牛革のみを使っています。

匠のワザと最新の技術が融合したベントレーのクルー本社工場
匠のワザと最新の技術が融合したベントレーのクルー本社工場

 このレザーに施される繊細なステッチングは、基本的に手作業でおこなわれています。聞けば、ステアリングホイール1本分を縫うのには半日以上を要するとのこと。作業にはもちろん繊細さが必要ですが、実はレザーは結構固いので力も必要。職人さんには頭が下がります。

 このステッチングにはいくつものパターンがあり、これもユーザーが選択することができます。今回、作業を見せていただいた職人さんはなんとステッチを考案したこともあるということでした。繊細で、そして力が必要で、さらに創意工夫も求められるというわけですね。

 最後に向かったのはヘリテージガレージ。戦前車が中心だった「CW1 House」とは違って、こちらには比較的、戦後のモデルが多くそろっていました。

 往年の「Sタイプ コンチネンタル」や「Tシリーズ」といった名車に加えて、現在の経営体制になって以降のモデル、例えば、2代目「アズール」や「ブルックランズ」などが並んでいたのには、思わず胸熱に。これくらいの年代のモデルになると、当時、仕事で乗る機会も少しずつ増え始めていて、実際に大いに圧倒されたのを思い出してしまいました。

ベントレーのクルー本社工場に併設されたヘリテージガレージ
ベントレーのクルー本社工場に併設されたヘリテージガレージ

 さらには、お気に入りの「ミュルザンヌ」の姿も。伝統の6.75リッターV型8気筒OHVユニットを積んだ最後のモデルは、実はハンドリング性能も素晴らしく、ここクルーの周辺で思い切り飛ばした(もう時効ということで……)、かつての思い出が甦ってきたのでした。

 久しぶりに訪れたクルー本社工場とは、ここでお別れ。本当は再度、ブティックに立ち寄ってグッズを買いたかったのですが、次の予定が迫っていたためかないませんでした。

 その次の予定とは、ベントレーのフランク-シュテフェン・ヴァリザー会長兼CEOへのインタビュー。次回は、ポルシェで29年以上を過ごしたヴァリザー氏に、ベントレー初の電気自動車と同社の未来について尋ねます。

Gallery 【画像】超カッコいい! 匠のワザが息づくベントレーの本社工場の様子を写真で見る(30枚以上)
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