VAGUE(ヴァーグ)

製造ロボットはわずか2基! 1台に最大130時間も費やして生産する英国・クルー本社工場へ 歴代の名車と“匠のワザ”が伝えるベントレーの真価

最新モデルと歴代の名車が同居する「CW1 House」

 ベントレー本社の前にある「CW1 House」は、まさにブランドの現在、過去、未来に触れることができるカスタマーエクスペリエンスセンターです。

 ショールームには最新ラインナップがズラリとそろうだけでなく、ブランドのグッズなどが並ぶブティック、そして歴史的モデルの姿も。私(島下泰久)が訪れた際には、ベントレーのカスタマイズ部門である“マリナー”が開発した最後のW12エンジン搭載車「バトゥール」や、大ヒットによってブランド隆盛のきっかけとなった初代「コンチネンタルGT」、そして、第一次大戦中に生産されていた星型9気筒エンジンなんてものまで並んでいて、その歴史の長さと深さを感じさせます。

 個人的に心惹かれたのは、初代「コンチネンタルGT」。実は私が以前、所有していたのがこのクルマで、今もその美しさ、威厳に変わりはなく、機会があればまた乗ってもいいな……なんて思いをかき立てられたのでした。

 さらにその後には、ショールームの奥の部屋へ。照明が落とされ、まずはベントレーの歴史をデジタル体験すると、続いてはズラリと並ぶヒストリックモデルの姿に圧倒されることになります。現存する中で最も古い車両である1919年の「EXP2」を筆頭に、「3Lスピード」、「ブロワー」、「8L」……と、垂涎のモデルが並んでいたのです。

 この「CW1 House」、現在では一般公開されていて、訪れた誰もが最新のラインナップに触れることができます。また、有料ガイドツアーも実施されていて、実際にヒストリックカーを生で見ることも可能となっています。いや、まさに眼福でした。

ベントレー本社前にあるカスタマーエクスペリエンスセンター「CW1 House」
ベントレー本社前にあるカスタマーエクスペリエンスセンター「CW1 House」

 続いては、いよいよ本社の敷地内に入っていきます。ベントレーの本拠地として1946年から長い歴史を紡いできたクルー本社工場は、敷地面積51万1111平方メートル、建屋面積は16万6930平方メートルに及び、工場だけでなくデザイン、エンジニアリング、製造、品質管理、そして販売やマーケティングと、あらゆる部署を包含しています。純正パーツ工場だけが敷地外にありますが、それもクルマで15分という近所となります。

 1日の生産台数は、平均して「コンチネンタルGT」が33台、「フライングスパー」が18台、「ベンテイガ」が33台とのこと。つまり1日当たりたったの84台! それはそうです。1台のクルマをつくるのに「コンチネンタルGT」で110時間、「フライングスパー」と「ベンテイガ」は130時間という途方もない時間をかけているのですから。ちなみに通常の量産車は、約17〜20時間程度といわれています。

 ベントレーの工場にとって大切なのは所要時間を削り、速く大量にクルマを生産することではありません。その逆で、組み立てラインの流れはゆっくり。品質を最優先に丁寧に1台1台を組み立てていきます。流れている車両は、やはり「ベンテイガ」が多くを占めている印象。右ハンドルも左ハンドルも、その他あらゆる仕様が同じラインで生産されていきます。

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