まもなく本国で発表! なぜアウディは新型車に「A2」の名を復活させる? 四半世紀前の“異端児”から受け継いだ「効率追求へのこだわり」
四半世紀前の初代「A2」はなぜ異例の存在だったのか?
初代「A2」は、「フランクフルトモーターショー1999」で世界初公開され、2000年に市場投入されました。
全長約3.83mというコンパクトなモデルながら、当時としては極めて先進的だったアルミ製の“ASF(Audi Space Frame)”を採用。ボディシェルは約153kgで、同等クラスのスチール製ボディと比べて約60%の重量に抑えられていました。
そうした軽量化だけでなく、空力性能も徹底して追求されていたのもポイントです。標準モデルでもCd値0.28を実現。なかでも直噴ターボディーゼルを搭載する「A2 1.2 TDI」では、Cd値を0.25まで低減していました。
さらにアルミ製の1.2リッター直噴ターボディーゼルや専用の5速ATなどの組み合わせにより、平均燃料消費量2.99L/100kmを達成。世界で初めてとなる4ドアの“3リッターカー”として注目を集めました。
このように初代「A2」は、小さくて安いクルマを目指したのではありません。アルミ製のボディ構造、徹底した空力性能と軽量化、さらにまとめて最適化されたパワートレインにより、少ない燃料でどこまで価値のある移動を実現できるかを追求した、小型車としては異例の存在だったのです。
その考え方は当時の市場では広く定着したとはいえず、アウディによると販売は期待を下回ったのだとか。約17万6377台を生産した後、2005年に生産を終了しています。
そんな初代の生産終了から約20年が経過した今、アウディは再び「A2」という名を持ち出してきました。
もちろん、初代「A2」と新型「A2 e-tron」では、パワートレインも車体構造も全く異なります。しかし、両車を結びつけるキーワードは明確。それが「効率」です。
初代は、軽いアルミボディと優れた空力によって燃料消費を抑えた一方、新型「A2 e-tron」は空気抵抗だけでなく、モーター、インバーター、トランスミッション、バッテリーまで含め、電力損失を細かく削減しています。
例えば空力では、アクティブクールエアインテークやエアカーテン、ホイール周辺の気流を整えるキャップディフューザーなどを採用。アウディによると、約100km/h以上では空気抵抗が車両全体のエネルギー消費の50%以上を占めるため、Cd値を0.24まで下げることが電費改善に直結するといいます。
駆動系にも同様の思想が貫かれています。パワーエレクトロニクスには、従来のシリコンではなく炭化ケイ素(SiC)半導体を採用し、特に部分負荷時のスイッチング損失を低減。モーターでは電磁鋼板の厚さを0.3mmから0.2mmへ薄くすることで鉄損を抑えています。
さらにトランスミッションには新しい低摩擦オイルを採用し、摩擦損失を低減。高速走行時には10.2:1という高いギヤ比によってモーター回転数を抑え、エネルギー消費量を削減しています。

初代「A2」が「燃料をいかに使わずに走るか」を追求したとすれば、新型「A2 e-tron」は「電気をいかにムダにせず走るか」を追求しているわけです。使うエネルギーは変わっても、効率をひとつひとつ積み上げていく開発思想には、25年越しの連続性が見えてきます。
●なぜ“プレミアムBEV”で効率を徹底追求するのか?
現在のBEVは、大容量バッテリーや長い航続距離、大きなパワーが分かりやすい商品価値として語られがちです。しかし新型「A2 e-tron」は、そうした方向とは異なるアプローチを取っています。
61kWhのLFPバッテリーは、Cell-to-Packによってパッケージング効率を高めているほか、レアアースを必要とせず、経年劣化しにくい特性を持ち、日常的に充電状態100%まで充電できることも特徴です。アウディは高い安全性や長寿命、日常での扱いやすさまで含め、LFPバッテリーを選択したと説明しています。
こうした車両構成から見えてくるのは、アウディはプレミアムBEVの価値を、単に「より大きく、より速く、より長く走れる」だけではないところに見いだしているということです。
車体の空気抵抗を減らし、駆動系の損失を減らし、バッテリーを効率よく使う。必要なエネルギーそのものを減らすことも、高度な技術によって実現できる価値のひとつだというのでしょう。
そこまで考えると、新しいBEVに「A2」という名を与えてきた意味も見えてきます。初代と新型「A2 e-tron」では、ルックスも技術も時代背景も異なります。それでも共通するのは、できるだけ少ないエネルギーで、日常の移動価値を最大化しようとする姿勢です。
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