ひとりの顧客のためにフェラーリは空力パーツまで設計し直した! 世界に1台だけの「CZ26」が示す“ワンオフ跳ね馬”の本気度
ひとりの顧客のために空力パーツまで専用設計する理由
そんな「CZ26」で特筆すべきは、専用デザインがボディパネルだけで完結していないことです。
大幅に変えられたスタイリングを成立させるべく、エアロダイナミクスにも広範囲な変更が加えられています。例えばフロントでは、冷却システムと気流制御を再設計。中央に配置したラジエターの角度が変更されたほか、専用バイパスダクトを採用することで冷却性能を確保しながら、フロントのダウンフォース向上も図られています。
さらに、車体下面やボルテックスジェネレーターも見直されました。フロントバンパー両端には、前輪付近で発生する乱気流を抑えて空気抵抗を低減するエアカーテンを採用。リアでは、大型のスポイラーに専用ディフューザーを組み合わせ、高い空力効率を維持しながらダウンフォースを高めています。
またリアウインドウ周辺には、専用の開口部まで新設。さまざまな走行条件でエンジンルーム内の熱を適切に排出できるよう考慮されています。
このように「CZ26」は、新しい外装デザインを与えて終わり、というモデルではありません。新たなデザインをフェラーリとして成立させるべく、冷却や空気の流れまで含めてエンジニアリングをやり直しているのです。
しかもそれが、ひとりの顧客のために製作される世界に1台だけのモデルなのですから驚かされます。
では、なぜフェラーリはここまで凝ったことをするのでしょうか? その答えは、フェラーリが“スペシャルプロジェクト”を単なるオーダーメイドサービスとして位置づけていないことにあります。
同プログラムでは、顧客の要望をもとに専用デザインを開発。顧客自身も主要なクリエイティブおよび技術開発の段階に参加しながら、フェラーリ・デザイン・スタジオとともに1台のモデルをつくり上げていきます。

完成するのは、既存モデルに特別な色や素材を与えただけの特別仕様ではなく、一度きり、二度と再現されることのないフェラーリなのです。
その考え方は「CZ26」のインテリアにも表れています。
専用設計のシートインサートやブラックのテクニカルファブリック、“ロッソ・ランパンテ”のディテール、専用ロゴ入りの刺繍などを採用。マットな素材とサテン仕上げのカーボンファイバー、金属糸を織り込んだ専用グロスカーボンファイバーなども組み合わせています。
今回発表された「CZ26」が示しているのは、フェラーリにとって“ワンオフ”とはただの豪華なカスタマイズではないという事実です。
ベース車が持つパフォーマンスや技術を土台としながら、顧客が思い描く1台のためだけに新たなデザインを起こし、そのデザインを成立させるべく空力や冷却のシステムにまで手を入れる。世界に1台だからこそ妥協するのではなく、世界に1台だからこそ本気で開発する……「CZ26」は、“跳ね馬のワンオフモデル”がなぜ特別なのかを何よりも雄弁に物語る1台といえそうです。
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