なぜトヨタは象徴だった“黒い後ろ姿”を止める? 「クラウン・クロスオーバー」4年目のデザイン刷新で見えた“次なるねらい”とは
“驚かせるデザイン”から“長く愛されるデザイン”へ?
このように、日本仕様だけでなく米国仕様も同じ方向へとデザインが整理されているのですが、ここから考えられるのは、今回のカラー変更は「クラウン・クロスオーバー」の商品としての成熟を意識したものだということです。
2022年当時、16代目「クラウン」には従来型との違いを分かりやすく示す必要がありました。
「クラウン」といえば長年、日本を代表する正統派セダンというイメージが強かったモデルです。そこへリフトアップしたクロスオーバーボディを持ち込み、さらにボンネットからリアまで大胆にブラックで塗り分ける……その強烈なビジュアルは、「クラウン」が変わったという事実をひと目で伝える上で大きな役割を果たしたはずです。
しかし、登場から4年が経過し、状況が変わりました。現在はクロスオーバーだけでなく、スポーツ、セダン、エステートも市場投入され、4つの「クラウン」という存在そのものが定着しつつあります。
もはやクロスオーバーだけが“新しい「クラウン」とは何か”を強烈なデザインで説明する必要は薄れてきたとも考えられます。
そこで2027年モデルは、インパクトの強さよりも、ボディそのものの造形やワイド感、上質さをアピールする方向へと軸足を移したのではないでしょうか? 実際、トヨタの米国法人は、2027年モデルについて、新しいリアバンパーによって「より洗練され、印象的なシルエットを実現した」と説明しています。

ブラックで大きく塗り分けることで視覚的なインパクトをつくるのではなく、造形そのものによって存在感を出す。そう考えると、“黒い後ろ姿”を止めたといっても個性を捨てたのではなく、デザインの見せ方が次の段階へシフトしたと見ることができそうです。
●中身も進化して“見た目だけの刷新”ではない
そんな2027年モデルの変更は、エクステリアだけにとどまりません。
北米仕様は、「XLE」「リミテッド」「ナイトシェード」の3グレードに第5世代のTHS(トヨタ・ハイブリッド・システム)を採用し、パドルシフトも標準装備。よりレスポンスのよい、ドライバーが積極的に操れるキャラクターへと進化しています。
また、最上級グレードの「プラチナム」には2.4リッターターボを核とする“ハイブリッド マックス”を搭載し、システム最高出力は340hpを発生。AVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション)も標準装備しています。
このように、今回の改良は奇抜さをさらに強める方向のものではありません。外観はよりシンプルなデザインとしながら、ハイブリッドシステムや走り、先進装備をアップデートする。「クラウン・クロスオーバー」を“新時代を象徴するショーピース”から、より完成度の高いプレミアムカーへ育てるフェーズに入ったといえそうです。
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大胆なバイトーンカラーは、16代目「クラウン」が従来の常識を打ち破ったことを象徴する重要なデザインでした。そのため、2027年の変更について「個性がなくなった」と感じる人がいるのも当然でしょう。
しかし、4タイプが出そろい、新世代の「クラウン」が定着してきた今、必要なのは“驚かせること”だけではありません。よりワイドに、より上質に、そして長くつき合えるデザインへ……今回の“黒い後ろ姿”の刷新は、「クラウン・クロスオーバー」がひとつの高級車として成熟段階にシフトしたことの証といえるかもしれません。
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