「ノアヴォク」の荷室にそのまま積める!? 38万5000円のトヨタ「GR KART」は親子で1台を共有可能!“モータースポーツの入口”となるか【Behind the Product#43】
親子で1台を共有できる!? 135〜185cmの幅広い身長に対応
「GR KART」がターゲットとしているのは、すでにカートレースを楽しんでいるベテランドライバーだけではありません。むしろコアターゲットとして想定されているのは、これからモータースポーツに触れる子どもやファミリー層です。
そこで採用されたのが、ワンタッチで操作できるペダルスライドとステアリングチルト機構。ポジションを身長135cmから185cmまで調整できるため、子どもから大人まで1台の「GR KART」を共有できます。
子どものために買ったカートを、親もいっしょに楽しむ、あるいは、親がモータースポーツへ触れるきっかけをつくり、それを子どもと共有する。1台の「GR KART」を家族で使えるようにすることで、購入のハードルが下がるだけでなく、モータースポーツを家族の体験に変えようとしていることがうかがえます。
「GR KART」誕生の背景には、モリゾウことトヨタ自動車の豊田章男会長が抱いてきた「モータースポーツも野球やサッカーのように多くの人が挑戦できる存在になってほしい」という考えがあります。
その入口となるカートをもっと身近なものにしたい……「GR KART」は、そんな発想から生まれたものといえるでしょう。
初心者にとってもうひとつ大きな壁となるのが、メンテナンスです。「GR KART」では、駆動方式に一般的なチェーンではなくベルト駆動を採用。これにより、チェーンオイルで汚れることがなく、さらにオートテンショナーによってベルトの張り調整も不要としています。エンジンには自己充電式バッテリーを内蔵。別体バッテリーを積んだり充電したりする手間も省いています。

そのほか、サビにくいステンレス製リアシャフトや金属製の燃料タンク内配管を採用。接触時に他車がリアタイヤへ乗り上げにくいバンパー形状など、安全性や耐久性にも配慮されています。
このように「GR KART」の特徴を並べていくと、ひとつの方向性が見えてきます。速くするための工夫だけではなく、初心者がイヤにならずに競技などを続けられるための工夫が多く見受けられるのです。
●カート本体だけじゃない “始め方”まで用意したGR
さらにGRは、専用アプリ「GR app」を用意。「GR KART」の購入前から走行に必要な知識を学べる座学コンテンツを提供。利用者登録や“ドライバーパスポート”の取得・管理もアプリ内でおこなえます。
このドライバーパスポートは、対応するカートコースでスポーツ走行をおこなう際の資格証明として利用できるため、購入者は別途、カートコースライセンスを取得しなくても走行を楽しめます。
ただし、SLカートミーティングで開催される「GR KART」レースに参加する場合は、別途、定められたライセンスの取得が必要。用品やスペアパーツも、専用のECサイトから購入できます。
ここまで見てくると、「GR KART」は単に、「38万5000円で買えるレーシングカート」ではないことが分かります。買う、運ぶ、置く、整備する、走り方を学ぶ、コースへ行く……といった、モータースポーツを始める際に初心者がつまずきそうな障壁を、GRはひとつずつ取り除こうとしていることがうかがえます。
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GRは以前から「モータースポーツを起点としたもっといいクルマづくり」を掲げてきました。しかし、競技から得た技術を市販車へフィードバックするだけでは、モータースポーツの裾野を広げるには限界があります。だからこそ今回、“入口”そのものをつくったわけです。
ミニバンで運べて、家では立てて保管でき、親子で共有でき、整備の手間も少ない。そして、必要な知識や走行資格までアプリでサポートする「GR KART」のねらいは、カートを売るだけではなく、「自分もモータースポーツをやってみよう」とトライする人を増やすことにあるのでしょう。
38万5000円という価格設定とユニークな設計の裏には、「モータースポーツを一部の愛好家だけのものにしない」という、トヨタとGRの意志が込められているようです。
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