発売から10年超、マツダ「ロードスター」はなぜ売れ続ける? 最新の特別仕様車「PS」とスポーティな「RS」を乗り比べて見えた“進化と深化”
“騒音規制対応”で走りまで進化!? 最新「ロードスター」の意外な改良
マツダのオープンスポーツカー「ロードスター」のセールスは上昇傾向にあり、2025年には年間1万台を突破。これはスポーツカーとしてはかなりの水準であり、何を隠そう、「ロードスター」の販売台数が年間1万台を超えたのは、1989年に発売された初代“NA”型以来なのだそうです。街でよく見かけるな、とは思っていましたが、そんなに好調だったとは!
そんなロードスターの現行モデルである“ND”型が発売されたのは2015年のこと。それから数えてもう12年目となるロングセラーモデルです。しかし、発表当初のモデルをただ漠然と販売し続けているわけでありません。マツダは時に小規模な、そして時には大がかりな改良をおこない、見た目はデビュー時とほぼ変わらないものの、中身はしっかりと進化しているのです。
2026年6月にも最新のアップデートが実施されましたが、そのポイントは大きく4つ。「走りの進化」、「騒音規制への対応」、「新しい特別仕様車の追加」、そして「新ボディカラーの追加」です。今回、それらの改良を受けた最新モデルに試乗することができました。
まずは「走りの進化」から。
スポーティな「RS」グレードと新設定の特別仕様車「PS」に採用されるビルシュタイン製ダンパーの設定変更、エンジン回転数を高めてもレブリミット直前までパワーを絞らない制御の採用、1.5リッターのMT車におけるヒール&トゥ時のエンジン回転数の補正、さらに、アクセルペダルを踏んだ際の応答がよくなるような制御が施されています。
すべて細かい改良ですが、いずれも「もっと気持ちよく運転できるように」という開発陣の想いが詰まった進化となっています。ドライビングのために熟成がさらに進んだ、といってもいいでしょう。

続く「騒音規制への対応」は、スポーティなクルマが好きな人にとってはネガティブにとらえられがちなテーマかもしれません。
これは、走行中にクルマから生じる音をより静かにするという規制に対応するための改良で、タイヤや吸排気系に変更が加えられています。
興味深いのは、その内容に“ステアリングフィールの最適化”が含まれていること。内容は、パワーステアリングの制御変更とのことですが、ちょっと考えてみると不思議な改良です。どうして「騒音規制への対応」メニューに、ステアリングフィールの最適化が含まれているのでしょう? 普通に考えると、それは上記した「走りの進化」に関するメニューではないかと思うのですが……。
ヒントは、走行ノイズを減らすために新たに採用されたタイヤにありました。これまでの新車装着タイヤと比べて、溝の深さや接地面のゴムの構造を変えてやわらかくしたコンパウンド、さらにはタイヤ自体の構造も異なっています。となれば、その特性も従来のタイヤと全く同じ、というわけにはいきません。そこで、新設計タイヤを装着するのに関連して、パワーステアリングの味つけもベストなものになるよう改良されたというわけです。
つまり「騒音を減らすタイヤに合わせてパワーステアリングの制御をつくり込んだ」というのが、「騒音規制への対応」メニューにパワーステアリングが含まれている理由なのです。

では、実際にはどのような変更が加えられたのか? 具体的にいうと、ステアリングを切り始めた際のアシスト量を減らし、逆にステアリングを切った状態から戻す際の、最初のアシスト量を少し増やしたのだとか。
気になるその印象は? 本来であれば、タイヤの変更に対応して従来型と同じ乗り味に調整した、とするのが筋かもしれませんが、従来モデルと乗り比べてみると、新型の方がスッキリと洗練された、スムーズなステアリングフィールになっています。もちろん、大きく変化しているわけではなく、ほんのわずかな差ではありますが……。
開発者によると、「コーナリングパワー自体は新型になっても変化していないものの、限界域でタイヤがすべり始める状況がより分かりやすくなっている」といいます。
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