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雨天でも1102人が集結! ポルシェの世界的イベント「Sportscar Together Day」はなぜ盛り上がった? 「PEC東京」5周年で実感した“ブランドの求心力”

ショーン・ウォザースプーン氏が手がけた「912 アートカー」のアンベールの模様
ショーン・ウォザースプーン氏が手がけた「912 アートカー」のアンベールの模様

クルマに乗らなくても楽しめる!? “間口”の広さが面白い

 もうひとつ印象的だったのが、イベントの間口の広さです。建物内には、本格的なレーシングシミュレーターが用意され、別のスペースではタミヤ製RCカーによるレースも開催。ガレージでは子どもたちにハイブリッドシステムを解説する「キッズテクニカルクラス」も開かれました。

 このように今回のイベントは、運転免許を持っていることがポルシェを楽しむための絶対条件ではありませんでした。親子でRCカーを走らせてもいいし、レーシングシミュレーターで腕を競ってもいい。歴代のポルシェをじっくり眺めるだけでもいいでしょう。

 実際、会場には、小さな子どもを連れた家族の姿も多く見られました。子ども向けプログラムをファミリーで楽しむ人が多かったのが印象的でした。

 クルマそのものだけでなく、時計やデザイン、食といったコンテンツが提供されたことも興味深いところです。

 ポルシェデザインの腕時計が展示・販売され、イタリアのエスプレッソマシンブランドであるラ・マルゾッコのブースではコーヒーが振る舞われるなど、会場を歩いているだけでもポルシェを中心としたライフスタイルに触れられる構成となっていました。

 そして多彩だったのがステージプログラム。スニーカーのデザインなどで知られるショーン・ウォザースプーン氏が手がけた「912 アートカー」のアンベールを始め、新型「カイエン エレクトリック」の解説、「トランスシベリア・ラリー」に参戦した写真家・小川義文さんによる初代「カイエン」に関するトーク、ポルシェの特別なカスタマイゼーションプログラム「Sonderwunsch(ゾンダーヴンシュ)」の紹介、ポルシェのワークスドライバー・フェリペ・ナッセ氏によるトークセッションなどが展開されました。

 さらに、ドイツのポルシェAGでデザイナーとして活躍する山下周一さんも登壇し、日本限定モデルである「911 GT3 アルティザンエディション」をテーマにデザイントークとライブスケッチを披露。

 また、「911」と「718」シリーズの商品開発責任者であるフランク・モーザーさんのトークショーやメディア向けのラウンドテーブルも開催されました。

 なお、山下さんとフランク・モーザーさんの興味深いトークについては、別稿で改めてご紹介する予定です。

●なぜポルシェは人を惹きつける? 「PEC東京」誕生からの5年間で見えたもの

 会場で1日を過ごしてみると、「Sportscar Together Day」が盛り上がった理由は、単に珍しいポルシェがたくさん集まったから、だけでは説明ができません。

 クラシックカーが好きな人は歴史を楽しめる。最新モデルに興味がある人は新しい技術に触れられる。走ることが好きならドライビング体験があり、子どもにはRCカーやテクニカルクラスが用意される。さらに、アートやデザイン、時計に興味がある人にも、それぞれ入口が用意されています。

 それらをつないでいるのが「PEC東京」という特別な場所です。「PEC東京」と木更津市の関係も、この5年間で深まっている模様。オープニングトークに登壇した木更津市の渡辺芳邦市長は、同市のふるさと納税寄付額の約3分の1を、「PEC東京」関連のプログラムが占めていると紹介しました。単に自動車メーカーの体験施設という枠を超え、地域にとって存在感のある場所になっていることがうかがえます。

「911」と「718」シリーズの商品開発責任者であるフランク・モーザーさんのトークショー
「911」と「718」シリーズの商品開発責任者であるフランク・モーザーさんのトークショー

 そして何より、この日、会場で印象に残ったのは、ポルシェとのつき合い方が人によって全く異なることでした。

 歴代「RS」を食い入るように眺める人もいれば、最新モデルのドライビング体験を楽しむ人もいる。また、ステージの話に耳を傾ける人、RCカーに夢中になる子ども、駐車場ではオーナーどうしがポルシェ談義に花を咲かせています。

 ポルシェのブランド力の強さは、単に高性能なスポーツカーをつくり続けてきた歴史に起因するものではありません。クルマを買う、走らせるという行為の周囲に、歴史やモータースポーツ、デザイン、さらにはコミュニティといった楽しみをいくつも用意している……。

「Sportscar Together Day」の公式メッセージでも、ポルシェのオーナーであるかどうかを問わず、スポーツカーを好きな人たちがドライブや交流を通して参加できると呼びかけています。

 雨にもかかわらず1102人が集まった理由……それは、「PEC東京」へ来れば“ポルシェというクルマ”を見られるだけでなく、“ポルシェのある世界”そのものを楽しめるから、なのかもしれません。

 開業から5周年を迎えた「PEC東京」。それを記念したイベントの風景から、ポルシェというブランドの求心力、そして日本との関わりの深さを改めて思い知らされました。

Gallery 【画像】「959」から歴代「RS」、最新のポルシェまで! 1102人が訪れた「Sportscar Together Day」の模様を写真で見る(30枚以上)
村田尚之
村田尚之
フリーランスライター・フォトグラファー
東京都出身。学生時代から雑誌の編集に携わる。自動車専門誌やメーカー広報誌などを手がける編集プロダクションを経て、2002年にフリーランスライター・フォトグラファーとして独立。クルマや旅客機、鉄道など乗り物関連の専門誌やニュースサイトを中心に執筆・撮影。『羽田空港アーカイブ1931-2023』(徳間書店)、『ANAの本。』(誠文堂新 光社)など書籍の制作にも携わる

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