見た目はかわいいのに走りはキビキビ! フィアットの新コンパクトSUV「グランデパンダ」に試乗 “48Vハイブリッド”の実力と惜しいポイントとは?
街中ではモーター走行も! 走ってみると意外なほどキビキビとした走り味
今回試乗したのは、上級グレードの「ラプリマ」です。
運転席に乗り込むと、まず目に飛び込んでくるのがポップで明るいインテリア。ブルーを基調とした室内に、鮮やかなイエローのアクセントが散りばめられています。ブルーを基調とした室内に、鮮やかなイエローのアクセントが散りばめられています。楕円形のデザインモチーフも印象的で、外から眺めているときとはまた違う楽しさがあります。
ユニークなのが、上級グレード「ラプリマ」のダッシュボードに使われている天然の竹繊維を配合した素材です。その名も“バンボックス・バンブー・ファイバー・テックス”で、天然竹繊維を約33%配合しており、一般的な樹脂製ダッシュボードとは違った表情を見せてくれます。
竹といえば、人気動物「パンダ」の好物です。環境への配慮と、車名にちなんだ遊び心を組み合わせた、いかにもフィアットらしい演出といえます。
車内には、飲料用紙パック由来のリサイクル素材も使われています。見た目の楽しさだけでなく、素材選びにも工夫が凝らされているのがポイントです。
そんな楽しい雰囲気は、走りからも感じとることができました。走り味をひと言で表現するなら、“元気にキビキビと走ってくれる”という表現がふさわしい仕上がりです。
絶対的な速さを追求したクルマではありませんが、それでも、アクセルペダルの操作に対する反応が軽快で、運転していて思わず楽しくなります。
なかでも印象的だったのは、パワーユニットの性格です。低速域ではモーターを積極的に使って走行するため、一般的なエンジン車とは異なる“電動車らしさ”があります。
一方、アクセルペダルを踏み込んで速度を上げていくと、1.2リッターターボエンジンが存在感を増していきます。そこから6速DCTの小気味いい変速が加わり、小さなエンジンを元気に回して走る楽しさを味わえるのです。

街中ではモーターを使って効率よく走り、アクセルペダルを踏み込めばエンジン車らしく活発に走る……この二面性こそが、新型「グランデパンダ」のキャラクターによく合っているなと感じました。
そうした軽快さは、ハンドリングにも共通しています。
SUVとしては、ステアリング操作に対する反応がややクイックな印象です。街中の交差点を曲がるような日常のシーンでも、クルマが軽やかに向きを変えてくれるので、ちょっとしたコーナーが楽しく感じます。
スポーツカーのような鋭さを味わわせてくれるわけではありませんが、ドライバーの操作に対してクルマが素直に反応してくれることが、運転の楽しさにつながっています。
それでいて、乗り心地はソフトな仕上がり。市街地から幹線道路くらいの速度域なら、快適に走ることができました。ハンドリングが軽快だからといって、足まわりが硬く締め上げられているわけではないのが好印象です。
リアシートにも座ってみました。身長177cmの筆者が座ると、背もたれは比較的立ち気味で、背筋がピンと伸びるような着座姿勢になります。
ゆったりと体を預けるタイプの後席ではありませんが、ヒザ前にはある程度のスペースが確保されています。乗り心地も、後席だからといって極端に悪い印象はありません。
長時間の移動では背もたれの角度が気になるかもしれませんが、短時間なら大人4人での移動にも十分対応してくれそうです。全長約4mのボディで、これだけの実用性を確保していることに感心しました。
もっとも、気になる点もあります。
市街地での軽快さや快適な乗り心地が印象的だった一方、静粛性や高速域での安定感は、もう少し磨き込んでもらいたいと感じました。街乗りでは元気で親しみやすいクルマですが、高速道路を使った長距離移動を重視するなら、静かさや落ち着きの面で好みが分かれるかもしれません。
また装備面で惜しいのが、ACC(アダプティブクルーズコントロール)が用意されていないことです。日本仕様には通常のクルーズコントロールは備わりますが、先行車との車間距離を自動で調整するACCはオプションでも設定されていません。高速道路での移動が多い人にとっては、購入時の重要な判断材料になるでしょう。
一方で、衝突被害軽減ブレーキや車線逸脱を抑えるレーンキープアシストなど、基本的な安全運転支援機能は充実しています。
* * *
快適装備や走行性能を細かくチェックしていけば、物足りない部分も見られる新型「グランデパンダ」。しかし、その点だけで評価を下すのは、少しもったいないクルマだと思います。
眺めているだけで楽しくなるデザインに、乗るたびに気分が明るくなるインテリア、そして、街中を軽やかに走り回れるフットワーク。何もかもそつなくこなす優等生とは違う価値観でつくられたクルマで、惜しい点があることを分かった上で、それでも乗りたいと思わせる魅力がこのクルマにはあります。
初代「パンダ」が持っていた愛嬌は、ひとまわり大きくなった新型「グランデパンダ」にもしっかりと受け継がれていました。
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