アルファ ロメオ新型SUV「トナーレ」はアクティブサス「あり/なし」どちらもいい! 気になる日本導入時期は?
「トナーレ」はアクティブ・サスとアナログ・サスのどちらが正解?
今回の試乗コースは、湖畔の街中、街と街をつなぐ郊外の道、山の上の方や湖に突き出ている大きな岬にあったワインディングロードといった感じ。そのほとんどが基本的には狭く、それなりに交通量もあって、試乗にうってつけとはいいがたい状況だった。
が、アベレージ・スピードは決して高くはなかったものの、わずかながらトナーレの運動性能を試せるようなところはあった。DNAダイヤルをD(=ダイナミック)にして突入してみると、背の高さがあるし、おそらくロールもそれなりにしているのだろうけど、まるでハッチバックのジュリエッタでも走らせているのかと思えるほどの曲がりっぷりを見せる。アンダーステアなんてまず感じない。ヘアピンのようなコーナーでもきっちりリアが気持ちよく素早く追従してくる。それどころか場合によってはスルリと適度にリアを泳がせて曲がっていくことだってできる。おもしろいくらいにクルリ、クルリと綺麗なターンを見せてくれるのだ。
ステルヴィオを初体験したときの“これってSUVだよねぇ……?”と呆気にとられたときの気分を思い出した。ハンドリング、抜群である。

ただしステルヴィオと異なるのは、ステアリングを切りはじめた瞬間の反応がそこまでは鋭くないこと。切りはじめはちょっと穏やかな感触で鮮烈というほどの印象はない──といってもフツーのSUVと較べたら明らかにクイックだ──が、そこから先で俊敏さの密度が濃くなっていくような感覚。曲がりはじめたらものすごく曲がっていく感じ、といえば伝わるだろうか。
といって、ロールが急に激しくなるわけでも、オーバーステアになるわけでもない。クルマの動きも描いていく軌跡も、極めて自然。ドライバーはただただ曲がっていくことが気持ちいい。何だかちょっとマジカルな感覚なのだけど、おそらくそれは曲がるときのクルマの姿勢が抜群にいいんだと思う。
トナーレのステアリング・ギア比は13.6対1と、このクラスのSUVにしてはクイックだけど、ステルヴィオの11.7対1と較べればマイルドな設定だ。ステルヴィオの場合には驚くほどクイックなステアリング・ギア比をホイールベース長めの車体で受けとめている感じがあるが、トナーレは? とホイールベース/トレッド比を計算してみたら、車体側の方がステルヴィオと較べてより曲がりやすい方向の数値を示した。さらにはハイブリッド・モデル全車に標準で備わる電子制御式セルフロッキング・デフなどデバイス類の調律。そんなところの絶妙なサジ加減で、素晴らしいバランスを作り上げてるのかも知れない。
ちなみに途中で非アクティブ・サスとなる基本形、KONIと共同開発をしたFSDダンパーを備えるTIに乗り換えたのだが、こちらがまた素晴らしかった。
アクティブ・サスのモデルでモードをDにするとエンジンやモーターの特性、ギアの変速スピードと同時に、サスペンションもグッと一段階引き締まり、コーナリングでのパフォーマンスも一段階高くなる。が、トナーレの運動性の素晴らしさは、そこだけに依存したものじゃなかった。
アクティブ・サス装着車はモードを切り換えることで乗り心地のよさと運動性能のどちらも引き上げることに成功してるが、それは双方を結ぶ幅が広くなったようなもので、その幅の多くの部分はベースとなったシャシでカバーできている。電子制御で誤魔化しているわけじゃなく、乗り心地の面でも運動性能の面でも、もともとの基本性能がすこぶる高いのだ。
体感できるくらい幅が広がっていることは確かだから、その幅広さが欲しい人はアクティブ・サスを選ぶのがいいと思うけど、なくてもまったく問題ない。むしろ基本形のすっきりしたフィーリングの方が好み、という人もいるだろう。僕はどちらかといえば後者。アナログ・サスでも充分に満たされていると感じたからだ。
いずれにせよ、どちらを選んだとしてもトナーレが抜群のハンドリングカーであることに相違はない。あまりに楽しかったので話がオタクっぽい方向に向かってしまったが、向かっちゃったついでにもうひとつ。
●日本に正規導入されるのは2022年末か!?
試乗が終わって会場に戻った後、エンジニアのドメニコ・バニャスコさんがいらしたので訊ねてみた。バニャスコさんはアルファ ロメオのハイパフォーマンス・モデルの総責任者であり、ジュリアGTA/GTAmや4Cなども、もちろん彼の作品のようなもの。彼がこの場にいて僕たちプレスの具体的な質問に答えるということそのものが、アルファ ロメオの中でのトナーレの位置づけを示しているようなものだ。
ともあれ僕が感じて考えたことを伝えてみると、彼は大筋それを肯定してくれた上で、それだけじゃないんですけどね、と教えてくれた。細かいことを記すとキリがないのでこれまたざっくりした説明になるから省くけど、つまりはサスペンションのジオメトリーや車体各部の剛性の持たせ方などを念入りに構成することで、普通のクルマなら前後のホイールの最上部あたりの高さにあるロールの中心となる軸を、トナーレでは前側をホイールのセンター辺りの高さ、つまり前下がりに設定するなど、クルマが曲がるときの姿勢とその動き方に徹底的にこだわって開発を進めてきたようなのだ。
なるほど、数々のスペシャル・モデルを手掛けてきたエンジニアは、単に味つけじゃなくて根本的な部分から“曲がる”クルマに仕立てた、ということなのか。だから普通に交差点を曲がったり当たり前のようにコーナーを抜けていくだけで、自然に楽しく快いのだな。
……と、多くの人にとってはウザくて読んでいられないと感じられるかも知れないようなところまで入り込んじゃったわけだけど、それは繰り返しになるけどトナーレがアルファ ロメオらしいドライビング・プレジャーを感じさせてくれて、嬉しくなっちゃったから。
まだこの後に275hp+4WDのプラグイン・ハイブリッド・モデルが控えているし、もっとハイスピードな領域で試してみたかったこともあるけれど、僕はもうこの前輪駆動のハイブリッド・モデルでも大満足。本文ではほとんど触れていないけど使い勝手のいいSUVで、便利な先進機能の数々も持っていて、カッコよくて、何よりフツーに走っていて楽しいし気持ちいいのだから。
日本に上陸するのは、おそらく2022年の年末あたり。まだ夏も来てないのに、ひと足飛びに冬がやってきて日本の地で走らせてみたいと感じてる。……ああ、待ち遠しい。
page
VAGUEからのオススメ
ポータブル電源が都心で過ごす夜を変える──Jackeryがかなえる“オフグリッド”なスポーツ観戦【PR】