最後の世代となるか!? BMW「2シリーズクーペ」は未来に語り継がれる“伝説のスポーツモデル”の有力候補
新しい2シリーズクーペはBMWの“AE86”
エンジンの縦置きレイアウトや後輪駆動ベースのプラットフォームを継承した新しいBMW「2シリーズクーペ」をドライブすることができた。

筆者は、世の中には2種類のドライバーが存在すると考える。それは、後輪駆動にこだわる人と、そうでない人だ。
リアタイヤに駆動力を伝えて走る後輪駆動車は、パッケージング面では前輪で路面に駆動力を伝える前輪駆動車より圧倒的に不利だが、ことドライバビリティにおいては大きなアドバンテージを持つ。そこにロマンを求めるドライバーこそが、後輪駆動にこだわる人だ。
後輪駆動車の魅力としてまっ先に挙げられるのが、クルマが曲がるときのフィーリングだ。リアタイヤで路面を蹴り、コーナリング中にアクセルペダルを踏むとクルマがどんどん内側へと向かっていくかのような感覚を得られる。もし腕に覚えのあるドライバーなら、さらにアクセルペダルを踏み込んで、すべるリアタイヤをコントロールする醍醐味さえ味わえる。これらは前輪駆動車では味わえないよろこびだ。
新しい2シリーズクーペは、いうなれば「BMWの“AE86”」である。その理由は、現行の「2シリーズ」のなかで唯一の後輪駆動モデルであるからだ。
AE86は、1983年にデビューした4代目のトヨタ「カローラレビン」と「スプリンタートレノ」のことで、大衆セダンである「カローラ」をベースとしたスポーツモデル。その最大の特徴は後輪駆動の採用だったが、セダンなど他のカローラ/スプリンターシリーズが同世代で前輪駆動車へとスイッチしたのに対し、スポーツモデルであるAE86だけは後輪駆動レイアウトを継承し、セダンとはまったく異なるメカニズムでつくられていたのである。
現行2シリーズには、今回採り上げるクーペのほかに、4ドアクーペセダンの「グランクーペ」や背の高いワゴンの「アクティブツアラー」、そして、3列シートレイアウトとなる「グランツアラー」が存在するが、それらはいずれも駆動レイアウトが前輪駆動(とそれをベースとする4WD)となる。つまりクーペだけが特別で「後輪駆動にこだわるドライバーのために」というBMWの思いがひしひしと伝わってくる。
MINIとの関係性が深い“クーペ以外の2シリーズ”に対し、エンジンを縦置きレイアウトとするクーペのプラットフォームは、格上となる「3シリーズ」や「4シリーズ」に近いもの。2シリーズを名乗るものの、中身もクーペだけまったくの別物なのだ。
全長4560mm、全幅1825mm、全高1405mm(「M240i xDrive クーペ」)というボディサイズは、先代より95mm長く、50mmワイドになり、「2シリーズクーペもずいぶん大きくなった」と思わずにはいられない。とはいえ、実用性に優れるリアシートを備えた後輪駆動車としては、世界最小クラスであることに変わりはない。
なかでも、現時点でのトップモデルである「M240i xDriveクーペ」は、ドライバーのアドレナリンをわき立たせてくれる1台だ。最高出力387psを発生する3リッター直列6気筒ターボエンジンは、暴れ馬のようにパワフルなだけでなく、アクセルペダルを踏めば踏むほどパワーがわき出てくるかのような、盛り上がりを味わわせてくれる。おまけに、ゆっくりと走っているときのつやっぽさも、さすがBMWの面目躍如といったところだ。

M240i xDriveクーペの駆動方式は4WDとなるため純粋な後輪駆動車ではないが、BMWの“xDrive”はあくまで後輪駆動を基本とし、ドライバビリティを重視した制御となるため、後輪駆動車らしい味わい深さをスポイルすることはない。暴力的なパワーを武器に、アクセルペダルを踏む右足でクルマを操る感覚は、何事にも代えがたいドライビングプレジャーを秘めている。
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