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頼むから日本でも売って! 北米で乗ったマツダ「CX-50」はカッコいいルックスだけで買いの1台

CX-30と同じ土台にCX-5よりワイドなボディを載せた

「なんてカッコいいんだ!」。目の前にたたずむマツダ「CX-50」をひと目見て、素直にそう思った。

 いかにもSUVらしい力強さをたたえる上に、SUVとしては異例なワイド&ローなフォルムがルックスの安定感を生んでいる。日本で売られているマツダ車の美しさとはベクトルが異なる、ほどよくワイルドな雰囲気がカッコよさの源になっている。

マツダの北米専用モデル「CX-50」
マツダの北米専用モデル「CX-50」

 マツダのCX-50を知っている人は、きっと相当のクルマ好きか、マツダファンに違いない。なぜなら日本市場では販売されていないからだ。北米マーケット専用モデルであり、生産はマツダとトヨタが共同で立ち上げたアラバマ州の新工場でおこなわれている(トヨタは同工場で北米市場向けの「カローラクロス」を生産)。2022年に入ってから生産がはじまり、デリバリーがスタートしてからまだ4か月ほどしか経っていないニューモデルだ。

 CX-50のボディサイズは全長4719mm、全幅1920mmで、ホイールベースは2814mm。つまり、日本でもよく見かける「CX-5」よりもひと回り大きい。“50”という2ケタ数字を掲げた車名は、「CX-3」に対する「CX-30」のように“ひとつ上のポジショニング”と考えればわかりやすいし、そのことはボディサイズからも想像できる。

 一方、プラットフォームは、マツダのスモールアーキテクチャーをベースとする。つまり、CX-5のそれとは異なり、「マツダ3」やCX-30と同じタイプとなる。そんな成り立ちを考えると、メカニズム的にはCX-5との関係性は薄く、むしろ、CX-30のお兄さん的な位置づけにある。

 CX-50の駆動方式は4WDのみで、パワーユニットは全グレードとも2.5リッターのガソリンエンジン。自然吸気仕様とターボ版の2種類を用意される。いずれも日本仕様の「CX-8」や「マツダ6」に積まれているものと同じだ。(CX-5のガソリンターボは先の商品改良でラインナップからドロップしてしまった)。

 今回の試乗車はターボ仕様。これがまさに、アメリカの道路環境にドンピシャのエンジンだった。低回転域での豊かなトルクが印象的で、現地で重視されるフリーウェイ合流時の加速はかなり力強く、そして運転しやすい。また、フリーウェイで車線変更する際の追い越し加速も頼もしい。

 一方、ハンドリングフィールは、日本で売られているマツダ車とは印象がちょっと異なる。ハンドルを切り始めたときからスッとクルマが反応し、シャープに曲がっていくのが日本仕様のマツダ車に共通する印象だが、CX-50はそのあたりのフィーリングがおだやかなのだ。

 とはいえ「このフィーリング、どこかで味わったことがあったな……」と思っていたら、なにを隠そう、先の商品改良でCX-5のラインナップに追加された新グレード「フィールドジャーニー」のそれによく似ていた。

 CX-5のフィールドジャーニーは、オールシーズンタイヤを履いているのが特徴で、やわらかいタイヤに合わせ、サスペンションとパワーステアリングの味つけを最適化。その結果、他のCX-5に比べて、おだやかな挙動を実現している。

 今回ドライブしたCX-50も、足元にはオールシーズンタイヤを履いていた(北米市場ではオールシーズンタイヤを新車に装着するのが一般的)。そのためドライブフィールが、CX-5フィールドジャーニーと近いものになっているようだ。

マツダの北米専用モデル「CX-50」
マツダの北米専用モデル「CX-50」

 ただし、誤解してほしくないのは、ハンドリングが“ダルい”とか“悪い”わけではないということ。挙動は日本で売られている一般的なマツダ車に比べればおだやかだが、操縦性は正確だ。

 たとえば、フリーウェイのジャンクションや合流部によくあるグルリと回るループ路でも、しっかりと曲がってくれるため安心感があるし、ワインディングロードも楽しくドライブできる。乗り心地とのバランスも良好だ。

 CX-5フィールドジャーニーと同様、ハンドリングはクイック過ぎない、適度なおだやかさが絶妙である。おそらく、これくらいの挙動の方が「好み」だという人も多いのではないだろうか。

Next広げた全幅をデザインに活かしたCX-50
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