デザイン激変のトヨタ新型「プリウス」走りはどうか? 大幅進化の乗り味は“意のまま”&“なめらか”
クルマの動きが軽やかになった新型プリウス
「コモディティ」か「愛車」か−−。5世代目への進化を前にそんな選択を迫られたトヨタ「プリウス」は、結果として「愛車」の道を選んだ。
スタイリングと走りを突き詰め、もちろん燃費もこれまで以上に追求する。いわば、クルマの魅力を真正面から追求した情感に訴えるモデルへと生まれ変わったのだ。

2世代目以降のモノフォルムを突き詰めた大胆なそのデザインやハードウェアの詳細については、すでにご存じの方も多いだろう。では、もうひとつの訴求ポイントである走りは一体どんな仕上がりなのか? いよいよ実現した公道試乗の印象をお伝えしたい。
先代プリウスはTNGAプラットフォームの“GA-C”を使った最初のモデルだったわけだが、新型も引き続き同じプラットフォームを用いている。ただし、そこには約7年の間に多数のモデルに使われ、熟成、改良されてきた果実がフルに反映されており、実際にトヨタ自身、“第2世代”と呼んでいるほどだ。
ボディ、シャシーについては、特にフロント周りの構造見直しにより横曲げ剛性を最大15%高めるなど、全体に剛性アップを実現。シャシーはブッシュ、マウント類に新素材を活用するなど、入念なチューニングを施している。
そしてパワートレイン。新型プリウスのHEV(ハイブリッド)モデルは、従来の1.8リッターエンジンに加え、新たに2リッターエンジンを組み合わせたパワフルな仕様を設定する。いずれもトヨタが第5世代と呼ぶ最新のハイブリッドシステムである。
2リッターモデルは、システム最高出力が前輪駆動版で196psにも達するだけに絶対性能は十分。それを活かして、アクセル操作に対して速やかに応答してその後も気持ちいい伸びを感じさせる加速感を実現するべく、制御が改められている。しかも、燃費は28.6km/Lと、先代の売れ筋グレード「A“ツーリングセレクション”」の27.2km/Lを上回るのだ。
1.8リッターモデルは、エンジンこそ従来と同様ながらすべての電動モジュールを刷新。軽やかな出足、ダイレクトな駆動感を実現しながら、32.6km/Lという低燃費を達成している。
いずれも前輪駆動、そして後輪を電気モーターで駆動する4WD仕様“E-Four”をラインナップするが、このE-Fourも高出力モーターの採用により、単なるすべりやすい路面でのアシストにとどまらず、積極的に駆動をおこなうものに進化した。
今回試乗できたのは2リッターモデルの前輪駆動とF-Four。まず前者で走り出すと、走りうんぬんの前にまず、乗降性も視界もさほど悪くないと確認できた。極端に寝かされたフロントウインドウの影響が気になっている人も少なくないと思うが、筆者自身はすぐに慣れてしまった。この辺り、さすがトヨタの仕事である。

走りは、何よりクルマの動きがとても軽やか。小径のステアリングホイールは中立付近では落ち着いた感触ながら、切り込んでいくとクルマがスッと軽やかにイン側を向いていく。ノーズだけが動くのではなく、クルマ全体がカタマリとなって曲がっていく感覚が気持ちいい。操舵感も上々で、クルマの動きが掌にしっかり伝わってくる。特段シャープだとか、そういうことではないのだが、挙動のつながりがよく爽快な走りを楽しめる。
ハイブリッドパワートレインは、アクセルを踏み込めば思ったとおりの反応が返ってくるし、その先では気持ちのいい伸び感も味わえる。キレッキレのレスポンスがあるとはいわないし、速度と回転上昇のリンク具合も、例えば「クラウン・クロスオーバー」が積む1モーター+有段ATの“デュアルブーストハイブリッド”ほどではないが、従来のTHSIIを思えば、これはもう上々といっていい。しかも燃費計を見れば、プリウスらしい思わず目をみはる数値が表示されているのだがら文句などない。
さらに特筆すべきは、ブレーキのタッチが大幅に向上していることだ。従来のTHSIIの回生協調ブレーキはここに難があって、特に停止寸前のコントロールが難しかったものだが、実は新型プリウスはブレーキのアクティブハイドロブースターを刷新することで、ついにこれを克服。ごく当たり前の操作で、素直に停まってくれるようになった。
要するに、フットワークもパワー感もブレーキも、すべてが思ったとおり意のままに反応し、しかも、それぞれのつながりが流れるようになめらかなのだ。動力性能の向上もそうだが、何よりそこが新型プリウスの走りのポイントといっていいだろう。
もう1点、特筆すべきが静粛性の高さである。外装ではフロントピラーの根本とドア段差の縮小、シール構造の見直しをおこなったほか、床下の大型フロアサイレンサーの採用、ラゲッジスペースの遮音性向上、塗布型制振材の広範囲への採用など、徹底した対策が施された結果、室内の音環境は劇的に改善している。特に、頭の周辺で音がこもるような感じが解消されているから、前後席間の会話などもしやすくなっているに違いない。
エンジン音の聞かせ方も、雑味として聞こえる高音域を抑え、低音域を強調したものとされている。この音環境も、心地いい走行感覚に貢献しているのだ。
気になったのは乗り心地。路面のつぎ目や段差などで、ちょっとガツンとくる。開発陣に聞くと「乗り心地重視ならば、トヨタにはほかにもハイブリッド車がいくつもある。プリウスは今回、それよりも走りを重視した」とのことだった。半分は納得だが、やりようはありそうにも思う。ちなみに195/50R19という細身・大径タイヤは、空気圧設定なども極端なものにはなっておらず、それが理由ではないだろうとのことだった。
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