日産のエスピノーサ新社長が語る「ブランド復活プラン」とは? 大型SUV「パトロール」やインフィニティも!? 気になる未来の新型車とは【Behind the Product #27】
まず第一歩は「日産を元々あるべき原点に戻すこと」
2024年に続いて2度目の開催となった東京・お台場でのフォーミュラE「東京E-Prix」のパドックで、日産自動車の新社長、イヴァン・エスピノーサさんに話を聞くことができました。

現在、フォーミュラEで日産は絶好調。日本ラウンドまでの段階でマニュファクチャラーズランキング首位をひた走り、ドライバーズランキングでもオリバー・ローランド選手が独走状態となっています。しかも今回は日本ラウンドということで、エスピノーサさんとしても気合が入ったことでしょう。
「今回のレースはとても大切です。何しろ私たち日産のホームレースですから。現在の会社の状況を受けて、私たちのファンや従業員の皆にいい成績を出すことで喜んでもらいたいと思っています。
今、私が考えているのは、日産という会社をまずはワンチームにしたい、ということです。モータースポーツはまさにチームスポーツ。日産にとってこれほど最適な場はないですし、一致団結して戦いたいと思っています」
会社の状況、つまり経営の面では、「Re:Nissan」と名づけられた再建策が発表されたばかり。まだまだ厳しい状況が続いています。
そんな中、私(島下泰久)が気になっていたのは、会見などで語られる内容が売上、台数、人員削減といった経営に関する話ばかりであること。そうやって課題を解決し、整理した結果として、一体、日産をどうしたいのか? ユーザーにどんな歓びを届けたいのか? そうした話題が、まったく出て来なかったことでした。
そこでエスピノーサさんには、まずはこの点についてハッキリ聞いてみました。
「決算会見では、経済界、いわゆるマーケットにメッセージを出すことを優先したので、財務寄りの内容になりました。前職では商品企画を担当していましたので、私はふたつの脳を持っているんです。経営軸の脳と、エモーショナルな脳。先日は経営の頭で話していたのです」
では、エスピノーサさんのエモーショナルな脳は、日産の今後をどんな風に考えているのでしょうか? こうした話が世に出るのは、初めてのはずです。
「私が考えているのは、日産を元々あるべき原点に戻す、ということです。われわれのラインナップには“日産ならでは”のクルマが多数あって、そこには共通のテイストがあると思っています。そうした商品づくりができるのは、日産がお客さまを理解し、お客さまとのつながりを大事にしてクルマづくりに臨んでいるから。
その意味で、どのモデルにもそれぞれ存在意義があり、情緒に訴える存在なのです。ただしそれは、スポーツカーだけに限りませんよ! 私は、日産車のそうした部分に改めて火をつけたい。今はそこが欠けていると理解しているのです」
●皆が待ち望んでいるニューモデルの登場は?
ここへ来て、新型「リーフ」の登場がカウントダウンに入り、「エルグランド」も新型が投入されることが明言されました。またRe:Nissanでは、次期型「スカイライン」も開発中だと明らかにされています。これらは必ずしも国内専用ではないでしょうが、皆が待ち望んでいるニューモデルであることは間違いありません。
一方、海外市場に目を向けると、そのほかにも「パトロール」だったり「キャシュカイ」だったり、多くの人々から熱く支持されているモデルがいっぱいあるのも事実です。これらが日本にやってきてもいいのでは? と、誰もが思うのは当然ですよね。
「記者会見の際にもお話したのですが、私は日本市場のカバレッジを拡充したいと考えています。
例えば、ディーラーに足を運ぶと皆がいうんです。『パトロールはどうして入れないんですか?』って。それはひとつの例ですが、ほかにも、日産のグローバルラインナップには面白いモデルがあります。インフィニティについてもよく聞かれますね。それらを、国内市場に投入できる余地はあると思っています。今ここで明言できることは何もありませんが、いろいろと検討はしていますよ」
近年の新商品の投入頻度の低さからして、これまでの日産が、日本市場を必ずしも最優先としてこなかったことは事実でしょう。それが変わってきたのは、「キックス」の導入や、ほぼ日本専用となる現行型「ノート」の登場くらいから。その流れが、今後もさらに強化されていくとなれば、うれしいニュースであることは間違いありません。
「日本市場の強化は絶対に必要です。カバレッジを拡充し、国内が私どもにとって技術のベースであり続けるためには、それを担保しなければなりません。
私としては、どんな新技術もまずは日本から始めることが重要だと考えています。ここはホームカントリーであり、エンジニアも皆、ここをベースにしているのですから、日本からスタートするのが一番適しているんです。そういう考え方で取り組んでいきます」
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