えっ…! ドアがないスポーツカーがあったの? 幻の「パブリカスポーツ」からレクサス「LFA」まで! トヨタが“スポーツカーの原点”を含む6台を一挙展示した理由
AE86とA80スープラの最新レストア事情
ここからは、1980年代以降に誕生したトヨタのスポーツカーを見ていきましょう。
■トヨタ「スプリンター トレノ GTV(AE86)」
1983年に登場した5代目の「カローラ」「スプリンター」(AE86)は、セダンや5ドアハッチバックなどに前輪駆動レイアウトを採用したことが大きなトピックでした。しかし、スポーツクーペの「カローラ レビン」「スプリンター トレノ」は先代モデルをベースに開発され、後輪駆動レイアウトのまま市販されました。
リアルタイムでの人気は、前輪駆動化された続くAE92型に劣ったものの、後に漫画『頭文字D』に登場したことでブームが到来。チューニングの可能性が高かったこともあり、手頃なFRライトウェイトスポーツカーとしてクルマ好きから愛されるようになりました。
今回の展示車は、2025年3月よりTOYOTA GAZOO Racingと茨城トヨタGRガレージ水戸けやき台店が協力し、レストアしたもの。グレードは1986年式3ドアハッチバックの「GTV」で、5年間、倉庫で眠りサビでボロボロだったものをスタッフたちがていねいに仕上げたのだといいます。
なおレストア時に使用した部品には、販売中および販売予定の「GRヘリテージパーツ」が使われています。
■トヨタ「スープラ(A80)」
世代を経るごとにスポーツ性能を高めていった「スープラ」の完成形といえる存在が、バブル期の1993年に誕生した4代目のA80型。主要マーケットである北米を意識したグラマラスなスタイリングや、3リッター直6エンジンを全車に搭載した高性能モデルでした。
そんなA80型が注目を集めるきっかけとなったのが、2001年に公開されたカーアクション映画『ワイルドスピード』。また、2002年の生産終了後、トヨタがしばらく高性能FR×MT車を市場投入していなかったことから、長年、テストドライバーの運転訓練車として使われていたのはスポーツカーとしての素性のよさを物語るエピソードといえるでしょう。

今回の展示車は1997年式で、「GRヘリテージパーツ」で復刻、再生産されたパーツを活用し、レストアされたもの。特にユーザーの声に応える形で復刻発売が予定されるインストルメントパネルが見どころです。
■レクサス「LFA」
最後は、レクサスブランドのフラッグシップスポーツカーとして、トヨタが2010年より限定500台を市場投入した「LFA」。トヨタとレクサスのプライドをかけたモデルであり、当時、3750万円からという価格でも赤字だったといわれるほど採算度外視で開発されました。
フロントに搭載される5リッターV型10気筒自然吸気エンジンは、ヤマハ発動機と共同開発されたもの。また車体構造にはカーボンモノコックシャシーを採用するという贅沢さで、ブレーキもカーボンセラミック製となっています。

市販されたのはクーペのみですが、コンセプトモデルとしてオープン仕様も2台のみ製造されています。
今回の展示車は、「トヨタ博物館」に収蔵されているもの。ちなみに貴重なオープンモデル「LFAスパイダー」も同館には収蔵されています。
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今回、プレスカンファレンスでは、登壇した「トヨタ博物館」の榊原康裕館長が2025年に始まったトヨタのヘリテージ活動「TOYOTA CLASSIC」の取り組みを紹介しました。
「TOYOTA CLASSIC」の柱となるのは、「トヨタ初物館」や「富士モータースポーツミュージアム」での“クルマ文化に触れる場づくり”、クラシックカーフェスティバルやオーナーズミーティングを通じた“愛車仲間づくり”、そして、GR HERITAGE PARTSに代表されるヘリテージパーツの販売やVintage Club by KINTOでのクラシックカーレンタルによる“クラシックカーの魅力体験”の3つだといいます。
そうした活動をより広げていくために、「トヨタ博物館」では2025年よりクラシックカーイベントに積極的に参加し、さらに独自イベント「クラシックカーミーティング」も開催。また、博物館でのクラシックカーレンタルなど、旧車の楽しさを身近に感じてもらうための機会創出に取り組んでいるといいます。
今回展示された6台を時系列で並べてみると、トヨタが60年以上にわたってスポーツカーを作り続けてきたことが分かります。そして今、「GRヘリテージパーツ」による部品復刻や、Vintage Club by KINTOでのクラシックカーレンタルなど、過去の名車を未来につなぐ活動が本格化していることがうかがえます。
旧車を眺めるだけでなく、実際に走らせ、次の世代へと継承する……そんな文化を育てようとするトヨタの姿勢が、今回のブースからは感じられました。
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