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あまりの強さにひとつのレースカテゴリーが終焉! “電動と静寂”の時代にこそ刺さる日産“R32”「GT-R」のアナログな愉悦とは【今こそ乗っておきたい名車たち】

グループAレースに勝つためだけに生まれた第2世代「GT-R」

 2026年現在、自動車の世界は“静寂”と“効率”に支配されているようにも思えます。BEV(電気自動車)が音もなく街をすべり行き、自動運転技術が――日本ではまだまだ先の話になるでしょうが、われわれドライバーからステアリングホイールを奪うべく、虎視眈々とねらいを定めています。

 そんな令和のクリーン極まりない公道において、今なお野太い咆哮とともに私たちの魂を揺さぶり続ける存在があります。

 日産自動車の“BNR32”型「スカイラインGT-R」です。

 世代にもよるでしょうが、少なくとも筆者(伊達軍曹)とおおむね同年代の中年各位においては、“BNR32”「GT-R」は“単なる高性能車”ではなかったはず。それは“青春の象徴”であり、手が届かなかった“憧憬”であり、日本の自動車産業が世界を震撼させた“頂点”でもあったのです。

 1989年、16年ぶりに「GT-R」の称号を冠して復活した“BNR32”型「スカイラインGT-R」は、日本の自動車史におけるパラダイムシフトそのものでした。

 開発目的は、当時のグループAレースで勝つという、ただ1点に絞られていたのです。

 2.6リッターの直列6気筒ツインターボエンジン“RB26DETT”は、当時の自主規制枠いっぱいとなる最高出力280psを発生。その高出力を電子制御4WDシステム“アテーサE-TS”が4輪へと最適に分配します。

 そのレーシングバージョンは、「全日本ツーリングカー選手権」においてデビュー戦から退役まで29戦29勝という、大谷翔平以上にマンガ的な大記録を樹立。その圧倒的な強さはライバルたちの戦意を喪失させ、カテゴリーそのものを消滅に追い込んだともいわれています。

日本の自動車文化における“重要文化財”ともいえる存在の“BNR32”型「スカイラインGT-R」
日本の自動車文化における“重要文化財”ともいえる存在の“BNR32”型「スカイラインGT-R」

 比較的コンパクトなボディに、過剰なまでの心臓と頭脳を詰め込んだこのモデルは、まさに“勝つために生まれてきたマシン”だったのです。

 そして、その市販バージョンにおける最大の魅力は、後継モデルである“R33”や“R34”が失ってしまった“人間の根源付近に与える愉悦”にあると考えます。

 運転席に座れば、現代のクルマのような豪華インターフェイスは一切なく、そこにあるのは無骨なメーター類と、手のひらに伝わる“RB26DETT”の微細な振動だけ。

 そして、最新のスポーツカーが“電子制御に守られ、速く走らされている”感覚だとするならば、“BNR32”「GT-R」は“ドライバーが機械をねじ伏せて走る”という、ある意味、根源的な愉悦を教えてくれる走りだといえましょう。

 それはデジタル化されたモデルではなかなか再現し得ない、極めてアナログで濃密なマシンおよび路面とのダイアローグ(対話)なのです。

Next素晴らしい体験を提供してくれる“重要文化財”
Gallery 【画像】超カッコいい! 日産の“BNR32”型「スカイラインGT-R」を写真で見る(13枚)
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