名門の新たな挑戦! ポルシェがEV版「カイエン」で守り抜いたものとは? スポーツカーブランドが導き出した“電動化時代の最適解”
なぜポルシェは“本丸”を電動化したのか
その思想は、モデルの選択にも表れています。
実はポルシェがBEVを手がけるのは、「カイエン エレクトリック」が初めてではありません。すでにBEV専用モデルの「タイカン」を送り出し、「マカン」も電動化を果たしています。それでも「カイエン エレクトリック」が特別な意味を持つのは、このクルマがポルシェというブランドを支える屋台骨だからです。
いまや「カイエン」は、多くの人が乗るポルシェのひとつ。世界的な基幹モデルです。いわばブランドの“本丸”であり、もしこのクルマが便利で快適なだけのありきたりな電動SUVになってしまえば、「“らしさ”とは何か?」という問いにポルシェは答えを打ち出せなくなります。
ブッシュマン社長はスピーチにおいて、「『カイエン エレクトリック』は新たな技術基準を打ち立てるだけでなく、紛れもないポルシェであり、紛れもなく『カイエン』である」と強調しました。それは決してセールストークではなく、電動化時代にポルシェは何を守るのか、という問いに対する明確な宣言だったように感じます。
クルマづくりにも、そうした姿勢が見て取れます。
「カイエン エレクトリック」は、800Vアーキテクチャーによる最大400kWの急速充電や、最大642km(WLTPモード)の航続距離など、BEVの最新技術が惜しみなく投入されています。

そして興味深いのが発表資料。上記のスペックと同じくらい、ある言葉が繰り返し記載されているのです。それは、「日常性」、「ロングツーリング」、「オフロード性能」、そして「スポーツカー」という4つのキーワード。「もっともパワフルな量産ポルシェ」であると同時に、日常での使いやすさ、長距離移動の快適性、本格的なオフロード性能を兼ね備えたモデルとして紹介しています。スポーツ性能を重視して快適性を諦める――そんな二者択一を、ポルシェは前提にしていないのです。
サーキットだけを速く走るのではなく、街乗りもロングドライブもワインディングも、あらゆるシーンでドライバーの期待に応える。それが現代のポルシェが考えるスポーツカー像であり、「カイエン エレクトリック」がスポーツSUVでも高性能BEVでもなく、スポーツカーという思想をSUVとBEVへ拡張したモデルと位置づけられているゆえんといえます。
●技術は変わっても思想は変わらない
「カイエン エレクトリック」の公式資料には、次のようなメッセージが掲げられています。
「The Cayenne goes electric – and remains a Porsche(「カイエン」は電動化する。しかし、ポルシェであり続ける)」
エンジンからモーターへとパワーユニットは変わっても、ブランドの核となる価値は変えない。そこには、かつてSUVの常識を書き換えたポルシェがBEVでも同じことを成し遂げようという意思が込められているといえるでしょう。
page
- 1
- 2
VAGUEからのオススメ
海と向き合い、自らを再起動する――プロセーラーが語る、シチズン「プロマスター」で“限界を超える”意味とは【PR】