実は「2台しかないSUV事情」が影響していた!? 日産の新コンパクトSUV「キックス」のボディサイズが大きくなった本当の理由
ボディサイズ拡大の裏にある日産のSUV事情
新型車が登場するたびに話題となるのが、「また大きくなったの?」という声です。日本の道路や駐車場の事情を考えると、クルマのサイズは切実な問題。それでもメーカーが車体を大きくするときには、必ず理由があります。
日産の新型「キックス」も、ボディサイズが大きくなったモデルのひとつ。車体は先代に対してひとまわり拡大し、全長は75mm伸びて4365mmに。全幅も40mm広がって1800mmとなりました。“Bセグメント”の代表格といえるトヨタ「ヤリスクロス」の全長は4180mmですから、ひとまわり以上大きいことが分かります。
では、新型「キックス」はなぜ、ここまでボディを大きくする必要があったのでしょう? その答えは、日産のSUVラインナップに事情があります。
その前に、新型「キックス」がどんなクルマなのか、簡単に整理しておきましょう。
今回のフルモデルチェンジで登場した新型は、車名と“Bセグメント”であること、そして、日本向けはハイブリッド専用車であることを除けば、先代からの共通点はほぼありません。
プラットフォームは先代の“Vプラットフォーム”から進化した“CFM-B”へシフトするなど、基本設計は現行型「ノート」と共用。パワートレインには、エンジンで発電してモーターで走る、日産独自のハイブリッド“e-POWER”を組み合わせます。
大きくなったボディと、質感が大幅にアップしたインテリア、そしてグッとよくなった乗り心地も魅力的。つまり、全方位的レベルアップを果たしています。

さて、本題に戻りましょう。
日産は現在、北米生産モデルである「ムラーノ」を販売していますが、基本的に国内市場で展開しているSUVは2台だけ。大きい方が「エクストレイル」、そして小さい方が「キックス」です。
昨今、SUVはすっかり乗用車の中心的存在となり、フルラインナップを誇るトヨタはもちろんのこと、マツダほどの規模でも「CX-30」、「CX-5」、「CX-60」、そして「CX-80」と、4台ものラインナップを用意しています。ユーザーニーズに合わせて好みのモデルを選べる状況を整えているわけです。
そうしたマーケットでありながら、日産のラインナップは2台だけ。それはいい換えれば、「その2台だけで幅広いユーザーをカバーしなければいけない」ということです。そう考えると、今回のフルモデルチェンジで「キックス」に起きた変化は理解しやすいのです。
「キックス」の使命として、広範囲のユーザーにアジャストする必要があります。そのためには、ユーザーに「狭い」と感じさせないリアシートが欠かせません。商品企画担当者も、次のように話します。
「まずはリアシートを広げ、また、それに見合うラゲッジスペースも必要となることから、荷室の奥行きを拡大しました」
大きすぎない車体とする範囲で、実用性を高めた。新型「キックス」のポイントは、そう考えればいいでしょう。
このボディ拡大の目的は、「エクストレイル」の“少し下”のSUVを求めるユーザーまでカバーすることです。他ブランドのモデルでいえば、トヨタ「カローラクロス」やマツダ「CX-30」、スバル「クロストレック」、ホンダ「ヴェゼル」辺りのクラス。「より多くのユーザーに選んでもらうために」を重視すれば、ボディの拡大も質感の向上も、すべてが腑に落ちるというわけです。
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つまり、新型「キックス」のボディサイズ拡大は、「エクストレイル」の“少し下”のSUVが欲しいという顧客までフォローするパッケージングという、明確なねらいの表れ。2台で戦う日産の、商品企画上の必然だったのです。
とはいえ、「車体が大きくなったから……」と不満を抱く人も、確実にいるでしょう。ということで、日産から日本市場向けに、さらに小さくてリーズナブルなSUVが登場するかもしれませんね。
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