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421馬力の「GT43」が816馬力のPHEVより楽しいのはなぜ? メルセデスAMG「GTクーペ」2台を乗り比べて見えた“速さとの向き合い方”

「GT43クーペ」は“クルマとの対話”が楽しい

 先に試乗したのは「GT43クーペ」。排気量が倍、出力も倍近いパワートレインを搭載するモデルが同じ「GTクーペ」内にラインナップされていることを考えても、シャシーがパワーを十分に受け止められるだけの余力を備えていることがうかがえます。その分、アクセルを踏み切れる、パワーを使い切れる楽しさがありそうです。

 実際にドライブしてみても、400psオーバーのパワーユニットを“使い切れる”と表現できてしまうほど優れたシャシー性能に驚かされますが、パワー不足は一切感じることなく、退屈という言葉を忘れさせてくれるほどドライビングの楽しさを備えていました。

 特に印象的だったのが、すべてが手の内に収まっているかのようなコントローラブルなドライビングの世界観。全幅は他の2モデルより55mmナローですが、それでも1930mmと決してコンパクトではありません。しかし、連続するコーナーをハイスピードでクリアしていくたびに、実際のサイズよりもクルマが小さく感じられるのです。

 また、フロントタイヤからのインフォメーションが手に取るように分かることもあり、ステアリング操作を含めた荷重移動が楽しく、奥深いとさえ表現できます。ブレーキは、実際の制動力とタッチを含めたフィーリングともに秀逸で、前後の荷重移動がしやすく、ひたすらクルマとの対話を楽しめるモデルだと感じました。

メルセデスAMG「GT43クーペ」
メルセデスAMG「GT43クーペ」

 また“M139”型エンジンは、改めて名機であることを痛感させられました。2リッターながら400psオーバーという高出力ユニットのため、「低回転域ではトルクの薄さを感じるのでは?」という先入観もあったのですが、そうした領域からでもきっちりとトルクが出ていて、しかもトップエンドまできれいに回ってくれます。そのフィールは絶品で、このユニットがいろんなモデルに搭載されたらいいのにと思わず妄想してしまいました。

●「GT63 S Eパフォーマンスクーペ」は新時代の“AMGハンマー”か!?

 対する「GT63 S Eパフォーマンスクーペ」は、まずは直線路で圧倒的な加速体験を味わわせてくれました。それはまるで、1980年代にAMGが“W124”型「300E」をベースに大排気量V8エンジンを搭載し、当時の常識を超える速さで名を馳せた伝説のモデル“AMGハンマー”を想起させるフィーリングです。

 低速・低回転域から大きくスロットルを開けると、間髪入れずに大トルクのモーターが仕事をし、シームレスで強烈という、ほかでは味わえない加速フィールを見せてくれます。そして、一瞬である程度の速度域にまで達すると、そこからは過給器がきっちりと仕事をこなし始めるという、ハイパフォーマンスなターボエンジンの魅力を余すところなく感じられます。

メルセデスAMG「GT63 S Eパフォーマンスクーペ」
メルセデスAMG「GT63 S Eパフォーマンスクーペ」

 前輪にも駆動力を伝える4WDレイアウトのため、「GT43クーペ」の美点であるナチュラルなハンドリングは味わえませんが、コーナーからの立ち上がり加速は圧倒的。コーナー出口でまだステアリングを切っている状態でも「もっと踏め! その方が速い。後はこっちで何とかする」とクルマ側から訴えてくるようです。

 ある程度はクルマ任せにして、圧巻の加速力でタイムを稼いでいく……そんな新時代のスーパースポーツならではの乗り方が楽しいと思える仕上がりでした。

* * *

「GT43クーペ」はドライバーがクルマを操る楽しさを満喫できる一方、「GT63 S Eパフォーマンスクーペ」はハイテクが生み出す圧倒的な速さを体感できるモデル。同じ「GTクーペ」でありながら、その楽しさは全く異なる2台でした。

Gallery 【画像】超カッコいい! メルセデスAMGのフラッグシップクーペを写真で見る(30枚以上)
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西川昇吾
西川昇吾
自動車ジャーナリスト
1997年生まれ、日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。大学時代から自動車ライターとしての活動をスタート。現在は新車情報のほか、自動車に関するアイテムや文化、新技術や新サービスの記事執筆も手がける。また「ロードスターパーティレース」や「スーパー耐久」シリーズなど、モータースポーツへも積極的に参戦。そうした経験を基にした車両評価もおこなう

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