“失敗”は悪いことじゃない!? 約60年前の“ポルシェ製トラクター”を中高生が整備! マニュアルのない現場で学んだ“答えを探す力”とは?【Behind the Product#45】
正解もマニュアルもない! 自分で考える5日間がスタート
ポルシェジャパンと東京大学先端科学技術研究センターが共同で運営する「LEARN with Porsche」は、子どもたちがこれからの時代を生きていくために必要な“学ぶ姿勢”を身につけ、新たな夢や可能性を見つけることを目的としたスカラーシッププログラムです。
知識や技術を一方的に教えるのではなく、子どもたちが実際の課題に向き合い、自分で考え、試行錯誤しながら答えを探していく……その過程そのものを学びととらえていることが同プログラムの大きな特徴です。
現在「LEARN with Porsche」の核となるプログラムはふたつ。「ものづくりが好きな若者向けのプログラム」と「君の学びを変えるサマープログラム」で、いずれも中高生の夏休み期間に開催されています。
本記事では、2026年7月27日から31日までの5日間開催された「ものづくり」プログラムの模様を振り返ります。
2026年の同プログラムは、「現場で学ぶ――マニュアルがない中で、どう修理するか?」をテーマに、北海道は十勝の「森の馬小屋」を舞台に、ポルシェ製の旧型トラクターや農業機械の整備に取り組みました。
講師役を務めるのは、トラクターの専門家である池田猛さんと、「森の馬小屋」を運営する田中次郎さんと祐子さん。東大先端研のシニアリサーチフェローである中邑賢龍さんと研究室のメンバー、さらにはポルシェジャパンの広報部長である黒岩真治さんもサポートに当たります。
参加したのは、中学生と高校生の計11人。同プログラムでは学校名や学年を明かさない決まりとなっていて、皆、どの学校に通っているのか、何年生なのかは明かされていません。それぞれが何に興味を持ち、目の前の課題にどう向き合うのかを大切にしているからです。
そのため、一般的な学校教育とは異なる環境が用意されています。プログラムでは、スマートフォンなどの電子機器は使用禁止。目の前にあるものを観察し、自分の手で触れ、仲間と相談しながら考えることが求められます。

そして、修理の対象となるのは、約60年前に製造されたポルシェ製のトラクター。長年にわたって使用されてサビついた機械を前に、どの部品がどんな役割を持つのかを考え、そして、工具の使い方を学び、どうすれば安全に分解・修復できるのかを自分たちで試していきます。
トラクター自体は過去3年間にわたり、プログラムの先輩たちによって、ほぼ実働可能な状態にまで修復されています。そこで今年は、トラクターのメンテナンスと、トラクターに接続する農業機械「ロータリーハロー」と「ロータリーレーキ」の修復がテーマとなりました。実際に“使って”こそ価値のあるトラクター。こうした機械類も農作業に欠かせないアイテムといえるでしょう。
修理に当たっては、マニュアルやスペアパーツなどが十分にそろっていません。だからこそ、マニュアルをチェックして正解を求めるのではなく、自分で考えて答えを導き出す力が求められます。
その分、作業は順調に進みません。部品が固着して外れなかったり、工具の扱いを誤ったり、力を入れすぎて部品を傷めたりすることも。しかし、ここでは失敗をあえて避けることよりも、失敗から何を学ぶかが重視されます。

「なぜうまくいかなかったのか」を考え、方法を変えてもう一度挑戦する。その繰り返しによって、知識として与えられた答えではなく、自分自身の経験として「どうすればうまくいくのか」を身につけていくのです。
子どもたちが経験するのは、機械の構造を理解することだけにとどまりません。作業を通じて、まず対象をよく観察すること、道具を慎重に扱うこと、そして一見すると単純な部品にも、それぞれ意味や役割があることを体験的に学んでいくのです。「なぜこうなっているのだろう?」と考えることが、ものづくりをより深く理解するきっかけになるのです。
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