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「今年度は日本車が強い!?」 2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー「10ベストカー」本当の実力を確かめる

今年度のイヤーカーは日本車から選ばれる!?

「2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー(以下、COTY)」が、いよいよ2022年12月8日に決定する。

日本車の躍進が期待できる今年度のCOTY。10ベストカーには7モデルが選出された
日本車の躍進が期待できる今年度のCOTY。10ベストカーには7モデルが選出された

 国内外48モデルがノミネートされた今年度のCOTYは、選考委員の投票で選ばれた上位11台の「10ベストカー」(本年度は第10位の指名数が同数だったため、規約にのっとり11台を選出)が最終選考へと進んだ。日本車7モデル、輸入車4モデルと、数字だけ見ると輸入車も健闘しているように思えるが、中身的には日本車の大健闘だ。

 そんな今年度の10ベストカーを見て思ったのは、イヤーカーはまず間違いなく日本車から選出される、ということ。それくらい、技術的にもコンセプト的にも日本車の実力が上がってきている。10年後に振り返ったとき「あの頃から日本車は掛け値なしに世界のトップになったんだよね」となる可能性は高いし、ひとりの日本人として、ぜひともそうなって欲しいと願っている。

 そんな日本車の躍進が期待できる今年度のCOTY。ここからは、最終選考へと進んだ日本車の実力を改めて検証していこう。

●スズキ「アルト」 LCAで見ると世界最高レベルのエコカー

LCAで見ると世界最高レベルのエコカーであるスズキ「アルト」
LCAで見ると世界最高レベルのエコカーであるスズキ「アルト」

「人気のスーパーハイト系ではない地味な軽自動車が、なぜ10ベストカーに?」と思った人もいるだろう。しかしスズキ「アルト」は、LCA(ライフ・サイクル・アセスメント=生産時や廃棄時を含めたトータルでの二酸化炭素排出量)で見ると世界最高レベルのエコカーである。

 一般道で試乗(平均速度27km/h)した際にマークした燃費は33.5km/L! 加えて、車重が700kgしかないから、鉄やアルミ、プラスチックなど原材料生産時の二酸化炭素量が少なく、マイルドハイブリッド用バッテリーはフルハイブリッド車の約30分の1、EV(電気自動車)の約200分の1という容量なので、バッテリー生産時の二酸化炭素排出量も極小だ。

 こんな“超エコカー”が先進安全装備をひととおり装備した上で109万円(消費税込)から手に入るというのは「普及してこそエコカーには意味がある」という観点からも素晴らしい。内外装のデザインがもう少しアカ抜けていたら文句なしの1台だ。

●トヨタ「クラウン クロスオーバー」 高級セダンの未来を切り拓く

高級セダンの未来を切り拓くトヨタ「クラウン クロスオーバー」
高級セダンの未来を切り拓くトヨタ「クラウン クロスオーバー」

「こんなの『クラウン』じゃない」という声も聞こえてくるが、僕は新型クラウン クロスオーバーをすぐに受け入れることができた。物心ついたとき家に4代目クラウンがあり、子ども心に「カッコいいなぁ」と感じていたことが関係していると思う。

 結果的に“スピンドルシェイプ”とか“クジラ”と呼ばれた4代目は個性的すぎて受け入れられず、その後、クラウンはフォーマル方向に舵を切り大成功を収めたわけだが、フォーマルなセダンという形態自体が神通力を失った近年、変わらないことは座して死を待つことを意味する。そう、クラウン クロスオーバーの使命は“脱・昭和のオジサン車”なのである。

 そうとらえると、個性的なデザインやカラーリングの意味がはっきりしてくる。僕はこれまでのクラウンに自分が乗るなんて全く想像できなかったが、新型は自分事として考えられるクルマになった。うちの子どもたちもこのクルマなら「週末貸してよ」といってきそうだ。

 そういう大変化を遂げたことがクラウン クロスオーバーの価値であり、それはクラウンと日本の高級セダンの未来を切り拓く価値でもあるのだ。

Next日産車の躍進が目立った今年度の10ベストカー
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