フォルクスワーゲン「ゴルフR」は伝統の“GTI”と何が違う? 駆動方式だけでなく開発部隊も別物!? 「作り手の熱さ」が息づく刺激的な走りが魅力です
過酷なコースで明らかになった「ゴルフR」の真価
今回のテストドライブの舞台となった「ポルシェ・エクスペリエンスセンター東京」のロードトラックは、ドイツ「ニュルブルクリンク」にある、すり鉢状になった有名なコーナー“カルーセル”や、アメリカのサーキット「ラグナセカ」にある、まるでジェットコースターのように一気に下りながら曲がる難所“コークスクリュー”を再現していることでも知られています。

そんな過酷なコースで印象的だったのは、「ゴルフR」は加速もコーナリングも速いのはもちろんのこと、まるで水を得た魚のように生き生きと駆けぬけていくことでした。
そこで感じた“GTI”との違いは、なんといってもコースに張りつく感覚の違い。“R”は4本のタイヤがしっかりと路面をとらえ、333psのパワーをたたきつけながらグイグイと曲がっていきます。しかも、旋回姿勢は見事なまでに安定感にあふれていて、サーキット生まれの血筋を感じさせる走り味でした。
そこには、電子制御を駆使し、状況に応じて後輪左右へ伝える駆動力を振り分ける“トルクベクタリング機構”が大きく貢献しているのは間違いありません。
対する“GTI”は軽快感が魅力的。“R”に比べてクルマの動きが軽やかで、スイスイ走る感覚が印象的です。
こうして同じコースで乗り比べてみると、ともに「ゴルフ」をベースとするスポーツモデルでありながら、それぞれの走りの方向性はかなり異なることが興味深いと感じました。
ティーレイバン氏に「“GTI”はFFなのに、なぜ“R”は4WDなのか?」と尋ねたところ、
「もちろん、走行性能を高めるためですが、“GTI”という伝統的なスポーツモデルとの違いを出すためというのも大きな要因です」と教えてくれました。
しかし、2台の走り味の違いは、単に駆動方式の違いというよりも、走りに対して向き合う開発陣の姿勢の違いだと筆者は考えます。
乗り比べてみると“GTI”はスポーティさを気軽に楽しめる味つけなのに対し、“R”はもっと高い領域で走りとドライビングプレジャーを楽しめるモデルです。
一方、後輪も駆動すること(と、トルクベクタリング機構を備えたリアデフの機能)のおかげで、“R”だけが楽しめることもあります。それがドリフト走行。
「ゴルフR」は、タイルを敷き詰めた路面に水を撒き、すべりやすくしたコースにおいて、ステアリングを切った状態でアクセルペダルを踏み込むとテールスライドを誘発。そのため、カウンターステアを当てながらドリフトして遊べるのです。これは理屈抜きに楽しい!
残念ながら、日本仕様には非採用ですが(ドリフトして遊べた試乗車にも搭載されてはいなかった)、本国仕様にはなんと、そうした走りを積極的に楽しめる「ドリフトモード」という総合制御までオプションで用意されています。
つまり「ゴルフR」は、速く走るためだけでなく、ドライバーがクルマを心底楽しめるようにつくられているのです。本当にクルマの楽しみを理解している人が開発しなければ、こんなモデルは生み出せないでしょう。
そして今回、“R”シリーズの開発者たちが本当にクルマ好きなのだと実感したことがもうひとつ。それはティーレイバン氏や、同じく来日していた開発テスト担当ドライバーのベニー・ロイヒター氏の話しぶりでした。
こちらからひとつ質問を投げかけると、それに対する答えが10も返ってくるのに加え、彼らが「ゴルフR」に込めた思いもたっぷりと教えてくれたのです。そんな姿勢からも、彼らがどれだけカーガイであるかがひしひしと伝わってきました。
「ゴルフR」はクルマ好き、熱い走りが好きな人がつくっている……これまで漠然と感じていた思いを、今回の試乗は確信へと変えてくれました。
しかも“R”シリーズは「日常からサーキットまでこなせるオールラウンダー」だということも見逃せません。“GTI”にはないワゴンモデルが用意されているのは、その現れといえるでしょう。
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