アウディの最強“電動グランツーリスモ”がさらなる高みへ! 新しい「RS eトロンGT」は何が変わった? “らしさ”満点の走りを実現できた進化とは
フラッグシップの説得力が増した新「eトロンGT」
欧州委員会は「2035年からのエンジン車の新車販売を禁止する」という方針を事実上、撤回する方針を固めました。といっても、2050年のカーボンニュートラル目標は変わらず、中・長期的にはBEV(電気自動車)を普及させていく必要があります。
よくも悪くも、すでに“BEVシフト”を宣言している欧州の自動車メーカーは修正を余儀なくされたのは事実ですが、これまで矢継ぎ早にリリースされてきたBEVモデルは、ここへ来て“2巡目”に入ろうとしています。BEV技術……特にバッテリーとeアクスルの進化は日進月歩であり、エンジン車以上に迅速なアップデートをおこなわないと、アッという間に時代に取り残されてしまうからです。
そんな中、欧州プレミアムブランドの中で積極的にBEVシフトを進めてきたアウディのフラッグシップモデル「eトロンGT(e-tron GT)」シリーズが大幅改良されました。デビューは2021年なので約4年ぶりの進化となります。今回試乗したのは、その中で最もハイスペックな「RS eトロン GT パフォーマンス(RS e-tron GT performance)」です。
エクステリアは、ワイド&ローをより強調するデザインの前後バンパー(塗り分けも異なる)や新CI(Corporate Identity/コーポレート・アイデンティティ)となる2次元デザインのフォーリングス、新デザインのアルミホイールなどを採用。
インテリアは、エクステリア同様に新CIの採用、シートやステアリングホイール(下部がフラット仕上げ)、インフォテイメントのデザインが変更されていますが、いわゆる“一般的”な改良レベルです。

少し話がそれますが「eトロン GT」シリーズは兄弟車のポルシェ「タイカン」と基本コンポーネントを共通しているのはいわずもがな。しかし、エクステリアは基本フォルムこそほぼ同じですが、前後はアウディ一族のデザインに整えられています。
インテリアも基本レイアウトは共通ながら、デザインは完全に別仕立て。もちろん、見えない部分は共通の部分も多いと思いますが、このキモを抑えた“差別化”は、たとえば日本のレクサスなどもっと見習って欲しいところです。
閑話休題。今回の新型「eトロン GT」シリーズへの進化ポイントは、目に見えない部分にあります。
まずバッテリーが新しくなっています。重量は9kg軽量化しながら高密度化がおこなわれており、バッテリー容量は93kWhから105kWhにアップ。これにより航続距離は534kmから631km(WLTCモード)へと伸びています。ちなみに本国仕様は320kWの急速充電に対応していますが、日本仕様は150kW対応となります。
前後アクスルに搭載されるふたつのモーターは、構成部品の再設計(リアモーターは約10kg軽量化)や冷却システムの最適化がおこなわれています。システム出力は通常550kWですが、ステアリングの左側にある「BOOST」ボタンを押すと、最大10秒間、プラス70kWのブーストがかかります。さらに、ローンチコントロール起動時は680kWを発生。ちなみに0-100km/h加速タイムは2.5秒(!!)と、もはや人間の方が限界を迎えそうな速さです。
今回は一般道での試乗だったので、その実力の半分すら発揮させることはできませんでしたが、そんな中で印象的だったのは、電動車なのにどこか“人間味”を感じられたことです。ちょっとカッコよくいうと“血が通ったBEVになった”感じ⁉
具体的には、日常域では大排気量のエンジン車のような大らかさ、逆にアクセルペダルを踏み込んだときには低音が効いたサウンド(サウンドエンジニアが作成)も相まって、スポーツエンジンのような“伸びのよさ”すら感じました。
モーターのトルクは流れる電流にほぼ比例しますが、出力アップによる過渡領域の余裕(同じ出力を出す場合でもモーター側の負担が少ない⁉)と、より緻密になった制御などにより、機械的にリニアではない絶妙な“間”や“心地よさ”をつくり出せているのかな……という印象です。
こうした電動パワートレインの変更に伴い、フットワーク系も全面的に見直されています。
プラットフォームは“J1 I”から“J1 II”にアップデート。駆動方式はアウディ伝統のクワトロ=4WDですが、前後だけでなく後輪左右のトルクとその配分を制御するトルクベクタリングつき電動クワトロが最適化されています。
足まわりにはエアサスペンション(2チャンバー/2バルブテクノロジー)を採用していますが、今回の試乗車にはさらに、アクティブサスペンション&リアアクスルステアリング、21インチタイヤ&ホイール(フロント=265/35R21、リア=305/30R21)、さらには10ピストンキャリパーのセラミックブレーキと、オプションてんこ盛り仕様となっていました。
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