なぜマツダは新型「CX-5」のハイブリッドを自社開発するのか? “人馬一体”を守るために“トヨタ技術の流用”を選ばなかった理由
なぜ新型「CX-5」に独自ハイブリッドが必要なのか?
2026年5月に日本で発売された新型「CX-5」のパワートレインは、全グレードが2.5リッターガソリンエンジンのマイルドハイブリッド仕様となっています。しかし、これとは別に、マツダは新開発エンジン“スカイアクティブZ”と組み合わせる独自の新ハイブリッドを、2027年中に新型「CX-5」へ搭載してデビューさせる予定です。
北米向け「CX-50」ではトヨタのハイブリッド技術を活用しているにもかかわらず、なぜ世界戦略車の「CX-5」では自社開発の道を選んだのでしょう。その背景には、電動化しても“人馬一体”を守りたいという、マツダのブランド戦略がうかがえます。
3代目となる新型「CX-5」は、2026年5月21日に日本で発売されました。先代から9年ぶりのフルモデルチェンジで、開発コンセプトには「新世代エモーショナル・デイリーコンフォート」を掲げています。
ボディサイズは全長4690mm、全幅1860mm、全高1695mm。ホイールベースは先代より115mm延長され、後席のヒザまわりや頭上空間を広げたほか、荷室容量も466リットルを確保しています。
また、大型タッチパネル式センターディスプレイやGoogleを搭載したインフォテインメントシステムも採用。従来のスポーティなイメージに加え、キャビンの広さ、使いやすさ、デジタル機能を重視したモデルへと進化しています。
国内仕様のパワートレインは、現状、2.5リッター直噴ガソリンエンジン“eスカイアクティブG 2.5”に、独自の“M ハイブリッド”を組み合わせた1種類のみとなっています。走り出しの際の軽快さや市街地でのなめらかさを高めながら、高速道路への合流などで必要となる動力性能も確保。駆動方式は2WDと4WDを用意し、WLTCモード燃費は14.2~15.2km/Lとなっています。
グレードは「S」、「G」、「L」の3種類で、価格(消費税込)は330万円から430万6500円。発売後約1カ月で国内受注が1万台を超え、月間販売計画2000台の5倍以上を記録しています。

すでに新型「CX-5」は、全車がマイルドハイブリッド化されていますが、なぜ2027年に別のハイブリッドを投入する必要があるのでしょうか?
現在の“M ハイブリッド”は、エンジンを主体としてモーターが発進や加速をサポートするマイルドハイブリッドです。一方、2027年中の搭載が予告されているのは、新型ガソリンエンジン“スカイアクティブZ”と、マツダが独自開発する新しいストロングハイブリッドの組み合わせです。
“スカイアクティブZ”は、欧州のユーロ7や北米のLEV4、Tier4といった厳しい排ガス規制への適合を目指しながら、燃費性能と走行性能を両立する2.5リッターの直列4気筒ガソリンエンジン。電動化時代におけるマツダの基軸エンジンとして位置づけられています。
つまり、新型「CX-5」はまず“Mハイブリッド”で市場投入され、2027年にはより本格的にエンジンとモーターを協調させる独自システムへ発展するという、2段構えの電動化計画を進めているのです。
●なぜトヨタ流用ではなく自社開発の道を選んだのか?
マツダは、トヨタのハイブリッド技術を自社開発のモデルに搭載した経験があります。例えば、北米などで販売されている「CX-50 ハイブリッド」には、トヨタのハイブリッドシステムが採用されています。マツダはその制御やアクセル応答などを独自にチューニングし、他社由来の技術であってもマツダらしい走行フィールを与えられたと説明しています。
それでも新型「CX-5」では、新型の発売タイミングに間に合わなくても独自システムを開発する道を選びました。マツダは海外メディアに対し、その理由として“人馬一体”の思想を挙げています。
またその記事では、自社開発の目的はふたつあり、ひとつはハイブリッド技術の仕組みを社内で深く理解し、技術や知見を蓄積すること。そしてもうひとつは、エンジンやモーターの駆動力をトランスミッションへ直接伝える方式を選び、ダイレクトでリニアな加速感を実現することだとしています。
ハイブリッド車の走行感覚は、エンジンやモーターの最高出力だけで決まるものではありません。アクセルを踏んだ際、いつモーターが駆動力をプラスするのか、どのタイミングでエンジンを始動させ、どの程度の回転数を使うのか、加速の要求に対して、エンジン音と実際の速度上昇をどのように一致させるのか……など、こうした制御の積み重ねが、ドライバーの感じる自然なドライブフィールを左右します。
マツダが掲げる“人馬一体”とは、単にコーナリング性能が高いことを意味するものではなく、ステアリングやアクセル/ブレーキの操作に対して、ドライバーが予想したとおりにクルマが動くことを意図しています。その反応が連続的で分かりやすく、余計な遅れや唐突さを感じさせないことが、クルマとの一体感につながるわけです。
モーターの駆動力がプラスされるハイブリッドでは、駆動力を細かく制御できる半面、エンジン回転と加速感が一致しなかったり、モーターからエンジンへの移行を意識させたりする可能性もあります。
だからこそマツダは、完成された他社システムを車両側で調整するだけでなく、動力伝達の構成自体から決める必要があると判断したのでしょう。
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