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“ロータリーエンジンの救世主”は日本の老舗部品メーカーだった!? マツダ「RX-7」のキーパーツ復活計画はどのようにして始まったのか!?【Behind the Product#43】

ロータリーエンジンにはなくてはならない“メタポン”

 今や貴重な存在となっているロータリーエンジンは、マツダにとって魂ともいうべきパワーユニットです。そのロータリーエンジンに欠かせない補機のひとつが、一般的なオイルポンプとは別に備わる“メタリングオイルポンプ”(通称“メタポン”)です。

 これは、レシプロエンジンのピストンリングに相当するアペックスシールを始め、コーナーシールやサイドシールなどを潤滑するために、エンジン内部へ適量のオイルを供給するポンプ。ロータリーエンジンの耐久性を維持する上で欠かせない部品といえます。

 しかし、現在も人気の高いマツダ「RX-7」の“FC3S”後期型と“FD3S”前期型の電子制御式“メタポン”は生産が終了。前者は2025年に在庫も底を突き、入手できない状態となっていました。

 そこで、マツダが救世主として白羽の矢を立てたのが、キャブレターやオイルポンプを製造してきた日本の老舗部品メーカー・ミクニです。

 ミクニは、初の2ローター・ロータリーエンジン量産車となった「コスモスポーツ」から、“FC3S”前期型の「RX-7」まで機械式の“メタポン”を供給。また、“FD3S”後期型と「RX-8」前期型向けのメカニカル式、「RX-8」後期型向けのソレノイド式も手掛けていました。

 そして、2026年5月に開催された「榛名ロータリーミーティング」では、生産終了となっていた“FC3S”後期型向け“メタポン”の復刻に向け、ミクニが純正補修部品の開発検討に着手したことが明らかになりました。発売時期や価格などは未定ですが、同プロジェクトが動き出したこと自体、ロータリーエンジンを愛するオーナーにとって福音といえるでしょう。

●愛着あるクルマを長く乗り続けられるように

 実は、マツダからの打診があった当初、事業として採算が成り立つか慎重に見極める必要があり、ミクニ社内でも慎重な意見が多かったといいます。プロジェクトの中心人物のひとりで、ミクニのサプライチェーン本部 滝沢工場製造第1グループのグループリーダー・渡辺健一郎さんは次のように振り返ります。

ロータリーエンジンを搭載するマツダ“FC3S”「サバンナRX-7」と“FD3S”「RX-7」
ロータリーエンジンを搭載するマツダ“FC3S”「サバンナRX-7」と“FD3S”「RX-7」

「非常に小ロットの補修用部品ですから、従来の量産ビジネスとは異なる採算モデルでの検討が必要でした。しかし、ちょうど同じ頃、私たちは補修用部品をミクニのビジネスの新しい柱に育てようというプロジェクトを立ち上げていたこともあり、『一度、トライさせてください』と手を挙げたのです」

 渡辺さんのいう補修用部品プロジェクトは、2043年の会社や社会を考えるために集められた若手社員によって立ち上げられたもの。ミクニ公式の長期経営ビジョン「VISION 2033」と並行して進められています。

 補修用部品を長期にわたって供給し、愛着あるクルマに乗り続けられる環境をつくる。そして同時に、整備や保険など周辺のビジネスも持続させたい――そんな思いから始まったといいます。その背景には、何よりクルマ文化を育てていきたいという、ミクニ社員の情熱があったのです。

「“メタポン”さえあれば走り続けられるのに、生産終了によって“ただの箱”になってしまう『RX-7』。そうした重要パーツをミクニが供給し、人々が豊かなカーライフをできるだけ長く楽しめるようサポートしたいと考えています」

 そう話すのは、ミクニの開発本部 制御システム開発部 制御システム第4グループのグループリーダー・田中直記さん。田中さんも若手によるプロジェクト発足時に集められたひとりです。

“FC3S”後期型向け“メタポン”の復刻に向けてミクニが純正補修部品の開発検討に着手したことが明らかになった「榛名ロータリーミーティング」
“FC3S”後期型向け“メタポン”の復刻に向けてミクニが純正補修部品の開発検討に着手したことが明らかになった「榛名ロータリーミーティング」

 とはいえ、生産コストが高くなり過ぎると、ビジネスとして成立させるのは難しくなります。その点、ミクニは同じラインで複数の製品を生産できるフレキシブル生産ラインの構築を推進中。こうした少量・多品種生産への対応力を、今回の“メタポン”開発にも活用する方針です。

 さらにミクニは、“FD3S”後期型や「RX-8」向けの“メタポン”を供給してきた実績があります。その知見を生かせることから、まったく経験のない企業がゼロから開発する場合に比べれば、技術的なハードルを下げられる可能性があります。

「そうはいっても、かつて販売されていた当時と比べれば、部品単価はどうしても高くなってしまいます。それでも買っていただけるとの試算が成り立つのは、『RX-7』という歴史的な車種向けであることが大きいですね」

 そう話すのは、ミクニの商品戦略室エキスパートである吉原秀介さん。吉原さんも発足時からこのプロジェクトに関わっているメンバーのひとりです。

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Gallery 【画像】「RX-7」を救う“メタポン”とは? 復活を目指すキーパーツの開発現場を写真で見る(25枚)
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