同じトヨタ「クラウン」なのに走りはモデルごとに違う!? 4つの車種が示す“新たな生き様”とまだ見ぬ“5番目”の可能性とは?
4つの「クラウン」は走りも別物! 「クロスオーバー」と「スポーツ」が担う役割
セダンという長年の常識を打ち破り、4つのボディタイプへと生まれ変わった16代目のトヨタ「クラウン」。
その開発陣が描いたポジショニングマップでは、縦軸は上が「創造」、下が「基盤」。横軸は左が「感性」、右が「理性」と定義されました。
この座標軸が示すとおり、16代目の生き様は、4つのモデルが放つ全く異なる息遣いと走りの味つけに宿っています。
縦軸と横軸が交差するセンターに立ち、変革の矢面に立った「クラウン・クロスオーバー」は、“GA-K”ベースの専用骨格に2.5リッターの“THSII(トヨタ・ハイブリッド・システムII)”と新開発の2.4リッターターボを核とする“デュアルブーストハイブリッド”を搭載しています。
ステアリングを切り込むと、横置きFFベースに対する先入観を鮮やかに裏切り、モーターなどを一体化した後輪の電動駆動ユニット“eAxle(イーアクスル)”と、上級仕様に備わる4輪操舵“DRS(ダイナミックリヤステアリング)”の緻密な協調によって、ドライバーの腰を中心にクルマがクルリと向きを変える、FR顔負けの旋回姿勢をつくり出します。
21インチの大径タイヤを履きながら、路面からの強い突き上げをあえて一瞬の時間をかけてジワーッと優しく受け止める足さばきは、「気負わずに誰もが高性能を味わえる」という、乗る者を温かく包み込むお母さんのような懐の深さを見せつけます。
続いて、ポジショニングマップ左上の「感性×創造」に位置し、若返りの切り込み隊長となった「クラウン・スポーツ」。
全長とホイールベースを大胆に切り詰め、豊満なリアフェンダーで踏ん張るプロポーションのとおり、歴代の「アスリート」の魂を獰猛に受け継いでいます。
ステアリングをわずかに傾けた瞬間からノーズがインへと吸い込まれ、ボディの大きさを忘れさせるほど軽快にコーナーを駆け抜けるその姿は、SUVの皮をかぶった純粋なスポーツセダンそのものです。
システム最高出力306ps(225kW)を誇るPHEV(プラグインハイブリッド)は、日常領域ではモーター駆動車特有のなめらかさとしなやかな乗り心地で身を潜めながら、ムチを入れれば、低重心ボディと「SPORT RS」に備わるAVS(アダプティブ・バリアブル・サスペンション・システム)が一体となり、確かな接地感を生み出します。

「硬く締め上げることだけがスポーツではない」という開発陣の矜持を雄弁に物語る、骨太なドライビングフィールを炸裂させるのです。
●伝統を守る「セダン」と自由を手に入れた「エステート」の個性
ポジショニングマップ右下の「理性×基盤」に位置し、形式を捨てたからこそ再び生み出された「クラウン・セダン」は、シリーズ唯一の縦置きFRプラットフォーム(GA-L)と3000mmのホイールベースを採用する“正統派ニューフォーマル”の極致です。
FCEV(燃料電池車)がもたらす静かな滑走感とよどみのないトルクの立ち上がりは、かつて初代「セルシオ」が世界に与えた衝撃を呼び覚ますほどの静寂と品格を湛えています。
FRの持ち味を活かした操舵フィールはどこまでも素直で雑味がなく、路面の凹凸をことごとくフラットに均してしまうサスペンションのしなやかさは、「センチュリー」に肉薄する領域に達しています。
個人の歓びだけでなく、公用車やショーファーカーニーズ、さらには水素社会を牽引するBtoG(ビジネス・トゥ・ガバメント)の旗頭として、背筋の伸びた威厳あるたたずまいを貫いています。
そして、ポジショニングマップ右上の「理性×創造」に位置し、シリーズのトリを飾った「クラウン・エステート」は、5mに迫る伸びやかなフォルムと、後席を倒せば約2mの広大なフラットデッキが出現する新時代のグランドツアラーです。
その走りは「クロスオーバーより俊敏で、スポーツよりおだやか」という絶妙な呼吸感にあります。

ロングホイールベースによる揺るぎない直進安定性を保ちながら、DRSの巧みな後押しでワインディングを驚くほど素直にいなしていきます。
段差が連続してもバネ下のバタつきを抑え込み、乗員の体を決して揺すらせないフラットな乗り心地は、「セダン」に匹敵する優しさを湛えています。
かつて豊田章男氏が、「クラウン」のワゴンを相棒に雪山へ通ったように、どんな過酷な長距離移動であっても、乗る人の心と体をどこまでもおだやかに包み込む頼もしさに満ちています。
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