VAGUE(ヴァーグ)

68馬力差でも“上下関係”はない!? フォルクスワーゲン「ゴルフGTI」と「ゴルフR」をサーキットで乗り比べ! 2台の高性能モデルが並び立つ理由とは

68馬力の差があっても上下関係ではない! 「GTI」と「R」が共存する理由

 今回、「GTI」と「R」の2台を乗り比べて興味深かったのが、パワートレインのバランスです。

「GTI」の265psに対し、「R」は333psと68psもの差がありますが、サーキットの全開加速における体感的な速さは「比べれば分かるレベル」に感じられました。

「R」のパワーアドバンテージが“4モーション”などのシステムによる約100kgの重量差により、絶妙に相殺されているためです。

 つまり、どちらも単純な直線番長ではなく、「どのようにコーナーを攻略し、どう速さを引き出すか」というシャシー哲学の違いがより鮮明に際立っています。

 ちなみに、フットワークについて“タラレバ”をいわせてもらうと、「GTI」のあの軽快なターンインに、「R」の強烈に巻き込む四輪のトラクションが合体したら、とんでもない“スーパー「ゴルフ」”が誕生するのではないか? と、筆者(山本シンヤ)は妄想してしまいます。

 しかし、筆者には、フォルクスワーゲンがそれをやらない理由も理解できる気がします。

 すべてを1台に詰め込んでしまえば、自らの操作で限界を引き出すダイレクトな歓びも、圧倒的な余裕とスタビリティで涼しい顔をして速く走る上質さも、どちらも中途半端に薄まってしまうからだと筆者は分析しています。

 さて、そろそろ結論にいきましょう。

 2台の限界領域に触れて明確になったのは、「GTI」と「R」の間には単純な上下関係(ヒエラルキー)がないということです。

(左から)フォルクスワーゲン「ゴルフGTI」と「ゴルフR」
(左から)フォルクスワーゲン「ゴルフGTI」と「ゴルフR」

 鼻先の軽さと前輪が引っ張る一体感を武器に、クルマと対話しながら操る楽しさを突き詰めた「GTI」は、実用ハッチバックである「ゴルフ」という枠組みの中における究極のトップグレードです。

 一方、緻密な電子制御によって異次元の旋回力を引き出し、GTカーとしての懐の深さとクールな速さを極めた「R」は、もはや「ゴルフ」という枠を飛び越え、BMWのMやメルセデス・ベンツのAMGといったプレミアムスポーツブランドの領域に足を踏み入れた特別なモデルといえます。

 同じ「ゴルフ」のスポーツモデルという位置づけでありながら、その解釈とアプローチは全く異なります。だからこそ、フォルクスワーゲン「ゴルフ」には、「GTI」と「R」の“ツートップ”が不可欠なのです。

 どちらを選ぶかは、予算やスペックの優劣ではなく、オーナーご自身がクルマとどのように向き合いたいかという、ライフスタイルと哲学の違いにほかなりません。

 ドライバーが主役となって操る伝統の「GTI」か、ハッチバックの概念を覆すプレミアムなGT性能を身につけた「R」か……今回、ピットレーンにたたずむ2台を見つめながら、スポーツドライビングの奥深さを改めて思い知らされました。

 とはいえ、ダイレクトに操る「GTI」の楽しさと、涼しい顔で異次元の速さを引き出す「R」の余裕を前に、「で、自分は結局、どっちを選べばいいのだろう?」と、いつまでも決めきれずに頭を抱える筆者がいたのも事実です(笑)。

Gallery 【画像】「GTI」と「R」で何が違う? フォルクスワーゲン「ゴルフ」の高性能モデル2台を写真で見る(30枚以上)

page

VAGUEからのオススメ

クルマ好きの男が「本気で欲しい」と思ったミニバン! マイチェンした「新型セレナ」の圧倒的完成度【PR】

クルマ好きの男が「本気で欲しい」と思ったミニバン! マイチェンした「新型セレナ」の圧倒的完成度【PR】

RECOMMEND