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アウディ新型「A6 e-tron」シリーズは“長距離グランドツアラーの理想形”か? 700km超の航続距離となめらかな加速がもたらす“余裕の走り”とは

日進月歩で伸び続ける電気自動車の航続距離

 今、日本で買えるBEV(電気自動車)において、1充電当たりの走行距離が最も長いモデルといえば、アウディ「A6 e-tron」シリーズです。

 実際にそれだけの性能が必要なのか否かは別として、BEVの世界ではこの1充電当たりの走行距離を、各社が競い合っています。

 それはまさに、日進月歩の様相といっても過言ではありません。例えば、世界で初めてBEV専用設計のボディを採用した量産BEVである日産「リーフ」の初代モデルは、2011年の登場時、1充電当たりの航続距離は228kmでした。

 それが2代目の大容量バッテリー仕様では458kmへと伸び、2025年に登場した3代目ではなんと702kmまで延長。わずか15年ほどで3倍以上という、とてつもない進化を遂げているのです。

 それは単にバッテリーを大型化したからでは?……なかにはそう理解している人もいるでしょう。確かにその指摘も間違いではありませんが、でも、それだけではないのです。

 本記事でフォーカスするアウディ「A6 e-tron」は、カタログ記載のWLTCモードにおける1充電当たりの航続距離が通常モデルで769km。より長い距離を実現するメーカーオプションの「レンジプラスパッケージ」を装着すると、それがなんと846kmにまで伸びます。

 2024年に、ソニー損保が自家用車を所有していて、月に1回以上運転する18歳~59歳の男女1000名を対象におこなった調査によると、日本の乗用車の年間走行距離の平均は6972km。つまり極論をいえば、「A6 e-tron」は平均的なドライバーであれば、月に1度の充電で事足りてしまうほどのレベルにあるというわけです。

 気がつけばBEVの航続距離もこれほどまで伸びています。そして、ここまで長くなれば、超ロングドライブに出かけるときを除き、充電の心配から解放されるのです。

アウディ新型「S6 スポーツバックe-tron」
アウディ新型「S6 スポーツバックe-tron」

 そんな「A6 e-tron」はもちろんバッテリーも大容量で、総電力量は100kWh。これは初代「リーフ」の5台分に相当します。しかし、その長い航続距離は、単にバッテリー容量が拡大しただけでなく、システムの効率アップや空気抵抗の低減など、細かい工夫の積み重ねで実現したもの。

 航続距離が77kmも伸びる「レンジプラスパッケージ」もバッテリー容量に変化はなく、サイドミラーのデジタルミラー化(突起が小さくなるので空気抵抗が減る)やエアサスペンションの採用(高速走行時に車高を落として空気抵抗を減らす)、空気抵抗を減らすホイールのデザインなど、空気抵抗の低減が大きなポイントになっています。

 Cd(空気抵抗係数)値0.21と、アウディ史上最も優れた空力性能を実現した「A6 e-tron」を見ていると、航続距離を伸ばすには空気抵抗を減らすことがいかに重要かを理解できるというわけです。空気抵抗をブラッシュアップするだけで、全体の約1割となる77kmも航続距離が伸びるのですから。

 一方、「大容量バッテリーは充電に時間がかかってしまい大変なのでは?」と思う人もいるでしょう。確かにその指摘は間違いではありませんが、かつては高速タイプでも1時間当たりの出力が50kWだった急速充電器は、今では90kWのものが増え、なかには150kWというタイプも珍しくなくなりました。充電器の進化で、大容量バッテリーでも充電時間が短縮される傾向にあるのです。

「A6 e-tron」も、150kW充電器やアウディがポルシェやフォルクスワーゲンと協力して販売店などに導入している高速充電器を使うと、わずか35分ほどでバッテリー残量が10%の状態から80%まで充電できるといいますから心強いですね。

●アウディのBEVでもワゴンを選べるように

「A6 e-tron」全体に目を向けると、「ミッドサイズセダンの『A6』がフルモデルチェンジでBEVになったの?」と思う人もいるでしょう。でも、そうではありません。ガソリン車やディーゼル車の「A6」は変わらずラインナップされていて、BEVモデルの「A6 e-tron」がアウディのラインナップに新たに追加されたのです。

 そんな「A6 e-tron」には、これまでのアウディのBEVモデルとは異なる特徴がふたつあります。

 ひとつは、SUVではないということ。これまでアウディのBEVは、超高性能スポーツモデルの「e-tron GT」を除くと、背の高いSUVばかりでした。

 しかしついに、ハッチバック&ワゴンボディも展開することになったのです。「アウディのBEVが欲しいけれどSUVには興味がない」という人にとって、待望のモデルといえるでしょう。

アウディ新型「A6 アバントe-tron」
アウディ新型「A6 アバントe-tron」

 そしてもうひとつの特徴は、アウディのBEVとして初めてワゴンボディが用意されたこと。そのシューティングブレーキを思わせるフォルムは、お世辞抜きにカッコいい。もし筆者(工藤貴宏)が購入するなら、迷わずこちらを選ぶでしょう。

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