“ヤリス風”ミッドシップクーペに直4搭載の「GR86」!? トヨタが「スーパー耐久」に実戦投入した“次世代スポーツカー”の正体【Behind the Product#49】
モリゾウ氏が語る「上級者向けスポーツカー」の理想像とは
「Mコンセプト」での走行を終えたモリゾウ選手に、2台の挑戦の意義についてうかがいました。
「プロの卓越した技量と、ジェントルマンの目線。その両方がそろって初めて、誰もが笑顔になれる本物の市販スポーツカーがつくれます。
プロがクルマの極限のポテンシャルを引き出して鍛え、僕たちジェントルマンが人間とクルマの対話のしやすさや懐の深さを確かめる……どちらか一方だけでは、レースカーとしてはよくても、乗って楽しい市販スポーツカーとしては最後のところで抜け落ちてしまう部分が出てきます。
僕が乗ることで操作系の違和感やすくい切れない課題が見つかる。そこにマスタードライバーの存在意義があると思っています」
さらに、モリゾウ選手は“未来のスポーツカー像”について、次のように語ってくれました。
「『GR86』、『GRヤリス』、『GRカローラ』には、ある意味、誰もが乗れて腕を磨いていける懐の広さがありますよね。でも、この『Mコンセプト』はちょっと違います。そうやってFRや4WDでしっかり腕を鍛えてきた人が、最後にたどり着く“次のステップ”として選ぶような、ドライバーの腕を試す上級者向けのクルマであってほしいんです。
従来のトヨタ車のように『止めよう、止めよう』と安全側に縛るのではなく、ドライバー主導でアクセルを開け、駆動で曲げていくクルマづくりに挑戦してほしい。完成したら、間違いなくドライバーを虜にする気持ちいいクルマになるはずです」
●FRとミッドシップ4WD…2台の実験車両が目指すゴールとは
低重心のフロントミッドシップと超高回転NAエンジンで、ピュアFRの操る歓びを研ぎ澄ます「レビン」。そして、カーボン骨格と緻密な駆動力制御で、腕利きのエンスージアストを試す挑戦的なミッドシップ4WDクーペの「Mコンセプト」。

アプローチは対照的ですが、どちらも「乗る者の心を熱くさせる本物のスポーツカーを世に送り出したい」というエンジニアとドライバーたちの純粋な情熱と、緻密なエンジニアリングから生まれています。
2台とも、まだ社内の商品化決定会議すら通っていない、市販化が約束されたわけではない実験車両ですが、だからこそ机上の採算や社内ルールに縛られることなく、「本当に走らせて楽しいスポーツカーとは何か?」という原点に向かって真っ直ぐ突き進むことができています。とはいえ、どちらの開発チームも、将来の市販スポーツカーへと成果をつなげたいという思いは共通しています。
サーキットの現場でリアルタイムに紡がれるこの泥臭くも熱い開発ストーリーの先に、どんな市販モデルが待っているのか? さまざまな規制によりスポーツカーを発売するハードルは年々上がっていますが、彼らなら成し遂げてくれるでしょう。日本のスポーツカーの未来が、楽しみでなりません。
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