魅力は美しさだけじゃない! アウディ新型「A6」セダン&アバントを乗り比べて実感 2トン超でも軽やかで“至極なめらか”な走りとは
流麗なボディに上級装備を満載! TDIセダンの“至極なめらかな走り”
美しいセダンというキーワードに対し、1997年にデビューしたC5型と呼ばれるアウディ「A6」を思い浮かべる人は、きっと少なくないでしょう。あるいは、美しいワゴンといえば? と聞かれたならば、アウディ「A6」の前身である初代アウディ「100アバント」と答える人、多いに違いありません。
アウディの新型「A6(セダン)」と「A6アバント」は、まさしくその血統を受け継ぐ、いずれも際立った美しさを自慢とするモデルとしてデビューを果たしました。実は2025年、BEV(電気自動車)の「A6スポーツバック e-tron」と「A6アバント e-tron」が先に発売されていますが、今回導入されたのは内燃エンジン搭載車となります。ちょっとややこしいですが、「A6」にはセダンとアバントを用意する内燃エンジン車と、スポーツバックとアバントから選べるBEVのe-tronが並列して用意されるのです。
変遷し続けているアウディのデザインですが、新型「A6」はまず非常に伸びやかなフォルムが印象的です。シングルフレームグリルは下方に置かれてノーズが低く、ボディラインは従来のイメージと違ってつやめかしい面で構成されています。
そこから後ろは、当然、セダンとアバントで異なります。セダンのハイライトはなんといってもトランクリッド後端の処理でしょう。カットされた面構成は美しく、そしてどこか往年のC5型を彷彿とさせます。一方のアバントは、クーペのように後方に向かって下がっていくルーフラインと、こちらも初代「100アバント」のように大きく寝かされたリアウインドウが印象的。いずれも際立つ流麗さに、さすがアウディ、とうなってしまいました。

この存在感には、デザイン自体はもちろん、サイズも効いているのは間違いないでしょう。新型「A6」の全長は従来より50mm伸ばされ、ついに5000mmの大台へ。ホイールベースは不変ですから、つまり、前後オーバーハングが延長されているのですが、ムダに長くなった感じは一切なく、とにかくスタイリッシュ! ですよね。
単に見た目がいいだけではありません。空気抵抗を表すCd値は、セダンの場合で0.23を達成。シングルフレームグリルの左右に開けられ、取り入れた空気でボディサイドの整流をおこなうスリット状の“エアカーテン”、リフトを減らすフロントスポイラー、床下の空気の流れを促進するアンダーボディパネルにリアのディフューザー等々が相まって実現したこの数値は、アウディの内燃エンジン車では最良だそうです。
この車体の基本骨格は、PPC(プレミアム・プラットフォーム・コンバスチョン)と呼ばれるもので、内容的には先代が採用していた“MLB Evo”の進化型といっていいでしょう。エンジンは、「TDI 150kW」にその名のとおり最高出力150kW=204psを発生する2リッターディーゼルターボユニットを、「TFSI 200kW」に最高出力200kW=272psの2リッターガソリンターボユニットを搭載。興味深いことに、最大トルクはいずれも400Nmとなっています。

さらに、両エンジンにはともに“MHEV plus”と呼ばれるマイルドハイブリッドシステムが組み合わされています。その電気モーターによるアシストは最高出力24ps(18kW)、最大トルク230Nm。これに7速のデュアルクラッチ式トランスミッション“Sトロニック”、そして4WDシステムの“クワトロ”が組み合わされています。
実はここまで見た限りでは、正直、弟分というべきアウディ「A5」との差がそれほど大きくないように感じていました。もちろん「A5」の方がサイズは小さいのですが、それでもホイールベースの差は30mmしかなく、パワートレインの概要もほとんど同じだからです。
しかしながら装備を細かく見ていくと、特に走りの面で、しっかり差別化が図られていることが分かってきました。「A6」だけのフィーチャーとなるのは、まずアダプティブエアサスペンションの設定。また、最大5度までの後輪操舵をプラスしたオールホイールステアリングも装着できます。さらに見逃せないのがアコースティックガラス。こちらも「A6」の場合、フロントサイドガラスだけでなくリアサイドガラスにも適用となるのです。いずれもオプションではあるのですが……。
今回の試乗車のまずは1台目、「A6 TDI クワトロ 150kW」は、まさにこれらを満載した仕様でした。ドアを開けて運転席に乗り込むと、インテリアの雰囲気はこれも最近のアウディに共通の、デジタルステージと呼ばれる湾曲したスクリーンを眼前に据えたハイテク感あふれるものになっていますが、目に見える部分、手に触れる部分のつくり込みはやはり一段上という印象。まさにアウディらしさを濃密に感じることができます。
そして走り出すと、まずはその力感豊かな出足に思わず頬が緩んでしまいました。そもそも低回転域から充実したトルクを持つエンジンに電気モーターのアシストが加わり、クルマの転がり出しがとてもなめらかなのです。2トンを超える車重がウソのように。
TDIユニットもディーゼル特有の「ゴロゴロ」、「チリチリ」という音とは無縁の吹け上がりを見せます。決して目立つわけではないですが、心地よく存在感を発揮する、そんなエンジンフィールです。

それには、前述のアコースティックガラスを始めとする行き届いた遮音の効果もあるのでしょう。速度域を上げていっても雑味のある騒音は耳に入ってきません。
乗り心地も至極なめらかです。必ずしもストローク感たっぷりという仕立てではないのですが、とにかく当たりが丸く、しっとりしていて、しかも姿勢がピタッと落ち着いているので、街中から高速道路まで、至極、上質な走りを堪能できるのです。やはりエアサスペンションはいい! 改めて実感してしまいました。
オールホイールステアリングは、普段は邪魔することなく、しかしコーナリング時や街中での取り回しを、より容易なものにしています。操舵角は5度と小さくないため、違和感も生じかねないのでは? と思っていたのですが、後退時を含めて、いい意味で装着されていることを忘れさせ、しかし、しっかり恩恵のある仕上がりでした。
それも含めて、走りっぷりは文句なし。今回の試乗は、1日で都心から千葉の鴨川を往復する、それなりの距離を走ったのですが、これくらいでは疲れなど全くなし。長距離クルージングはさぞ快適、そして楽しめるだろうなと思わせてくれたのでした。
ちなみに、クルマを降りてドアを閉めようとすると、最後の最後でドアが自動的に引き込まれ、コトッと静かに閉まりました。そう、実はアウディ新型「A6」シリーズには、4枚のドアにオートクロージャーが標準装備されているのです。便利なだけでなくラグジュアリー感を一気に引き上げてくれるだけに、これはうれしいアイテムです。
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